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News Release
医語よろしく

2013年1月~

【2013.2.7】

「痛い辛い」の症状が出る前にこそ、最強の治療を
・・・アバスチンの有用な使用に向けて・・


再発乳がん、転移乳がんの患者さんに薬の治療をする際、もし病状がさほど重大ではなく治療の緊急性がなさそうな時には、ほとんどの場合、3ヶ月をひと区切りとして画像検査や腫瘍マーカーを見て、病状の進み具合をチェックする。もし前回よりも転移巣が大きくなっていたり、痛みや呼吸器の症状などが出てきたら、次の治療薬に変更してその後の3ヶ月を乗り切ろうとする。

「3ヶ月前はまったく症状がなかったのに、いまは転移巣の数がずいぶん増えてそれぞれ大きくなっているし、痛みや咳も出はじめて患者さんはつらそうだから、今のホルモン剤はもうやめにして次は抗がん剤に代えた方がいいな」と、臨床医は考える。

しかし、こういう治療の考え方は果たして正しいのであろうか?このようなケースでは、実は、もうちょっと前の段階で、つまり今より3ヶ月前に、まだ患者さんにつらい症状が出る前の段階で、もっとよい治療を選択することはできなかったのだろうか?もしその時に、もっと有効な治療をしていれば、症状が出る時期を先延ばしすることができて、患者さんがつらい思いをするタイミングを、ずっと後に延ばせたにちがいない。

もし、いまから3ヶ月前に、「このところ、腫瘍マーカーの上がり方も急だし、CTでも肺の転移巣がずいぶん大きくなったし腫瘍の周りになんだかもやもやした網状の白い影も見えてきている、これって周りのリンパ管にがんが拡がり始めた、いわゆるがん性リンパ管症の始まりだな、がんが進むスピードが速くなっている証拠じゃないか? 今は幸いにも患者さんは咳や息苦しさなどの症状はなくてすんでいるけれど、このままのんびりホルモン剤なんかで治療していたら、これからの次の3ヶ月以内に、きっと咳などの症状が出るだろう。だったら症状がない今の段階で有効な治療をしてあげよう」と考えることが、最も望ましい臨床医の治療選択ではなかろうか?

そこで出てくるのが、アバスチン+タキソール〔=アバソール〕である。今、乳がん治療を手がける臨床医の多くは、痛みや咳や呼吸苦などの症状がない患者さんにはアバスチンは使わない、つまり、病状がかなり進んだ段階にならないとアバスチンは使わないという医師が圧倒的に多いと聞く。実は、症状が出る前にアバスチンを使って、症状が出るのを予防、先送りにしよう(Prevent symptoms)という考え方〔渡辺亨先生〕は、患者さんのQOLを維持するという再発転移乳がんの基本的な治療戦略に見事に合致する。再発転移による症状が出る前のタイミングでこそ、最強の治療薬アバスチンを使用すべきである。

では臨床医には、その微妙なタイミングがわかるのか?と聞かれると、「今はたいしたことはないが、次の数ヶ月で病状が結構進むかもしれないな」と感じる瞬間を経験することは決して少なくない。また、その時そう感じたのに具体的に治療法を変えるなどのアクションをしなかった場合など、次の3ヶ月後に「あ、やっぱり前回そう感じたのは正しかったんだ、治療を変更しておけばよかったかなあ」などと、あとあと反省かたがた思い起こすことは、実はよくあることである。

再発転移乳がんの治療薬を、次の段階に切り替える時、長年の臨床経験を有する優秀な臨床医の頭の中は、スーパーコンピュータ【京(けい)】に匹敵するほど、ぐるぐるいろんなことを瞬時に解釈し判断を下す。(ちょっとほめすぎ) しかし、この「かんピュータ」の技量は結構バカにならない。残念なことに、臨床医の中には四半世紀前のNEC98シリーズにのっかったMSドスの〔いちたろー〕くらいしか、状況解析ができないお粗末な輩もいなくはないのだが・・・

京(けい)なみに臨床状況を判断出来る主治医なら、再発乳がん患者さんが現在は無症状でも、症状が出る一歩手前の段階からアバスチンを使うことが最も理屈に合うことは容易に理解するだろう。症状が出るまでアバスチンは使わないなどとかたくなに言い張る臨床医は、MSドスなみのおつむしか持ち合わせておらず、そんな主治医では患者さんはとってもかわいそうドス・・・・