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News Release
医語よろしく
2011年1月~
【2011.11.18】
アバソール その2 (アバソールのチャンス)
- 認定医X:
- 先生、ちょっとおたずねしたいことがあります。この間、アバスチン+タキソール=アバソールは、HER2陰性乳がんが再発したときに、真っ先に(1st-lineで)使うべき薬っていうお話を聞かせてもらいました。実は今、タキソールを再発治療で使っている患者さんが何人かいるんですが、そのうちのおひとりが、今日の午前中点滴に来られたんです。その患者さんは、今、タキソールを使い始めて3ヶ月くらいで、首のリンパ節も2周りくらい小さくなって、腫瘍マーカーも下がって来たし、落ち着いているので、取りあえずタキソールだけでこのまま治療を続けようと思ってるんです。その患者さんには将来、アバスチンはタキソールがだんだん効かなくなってから、それから乗せすればいいですよね。
- 専門医A :
- いや、そういうやり方はお奨めしないな。
- 認定医X:
- どうしてですか?アバスチンはタキソールのパワーを増強するんでしょう?
- 専門医A :
- うん、しかし、タキソールだけで将来効かなくなってくるってことは、その時点でアバスチンの併用を開始しても、もうリンパ腺を小さくするだけのパワーは発揮出来ないかもしれないだろ。タキソール自体の効力が無くなってからアバスチン乗せても、もう難しいだろうね。
- 認定医X:
- ・・・ってことは、その患者さんには、アバスチンのあの圧倒的な治療効果は、もうお届け出来ないってことですね。
- 専門医A :
- ハハ、そこだよ。よく考えてごらんよ。君は、アバスチンの効果って、・・どうなの、薬として評価しているの?それとも、ちょっと疑問符付き?
- 認定医X:
- そりゃ、高く評価してますよ、あの治療成績ですよ。決まってるじゃないですか。
- 専門医A :
- だったらさ、今、タキソールだけで、効いている患者さんにだって、、今の時点からアバスチンも一緒に使うことを提案してあげたらどうだい?
- 認定医X:
- え?今タキソールの治療がうまくいっている真っ最中の患者さんにですか?それって、ちょっと考えちゃうなあ・・・
- 専門医A :
- でも君は、アバスチンの効果を評価してるんだろ。このままタキソールだけで治療してて、結局再発巣が大きくなったら、次は別の薬に変更するんよね?そうしたら、その患者さん、今後将来アバスチンを使うチャンスはあるかなあ?
- 認定医X:
- え。そりゃあ、一回再発治療で効かなくなったら、もうタキソールはもう二度と使わないですから、ってことはアバスチンももう出番はないってことかあ・・
- 専門医A :
- だろ?!だから、今タキソールを使っている患者さんは、今がアバスチンが使える最後のチャンスだってことだよ。
- 認定医X:
- そういわれてみればそうですね・・
- 専門医A :
- 再発治療がうまくいっているとき、薬の種類や使い方を、とやかく代えたりいじったりすることは、なかなか患者さんも担当医も抵抗があるよね。しかし、今効いているタキソールはさ、ひょっとしたら、後1-2ヶ月したら効かなくなるかもしれないぞ、一般的には半年くらいってのが平均だからさ、ってことは、今、新たにアバスチンも一緒に使えば、またこれから、何ヶ月も、タキソールの効果を延長させてくれる可能性が高いだろう?・・・トータルで平均1年近くまで効いてくれてるんだから、むしろ、今使わない手はないんじゃないかい?・・
- 認定医X:
- なるほど、よくわかりました。その患者さんは、アバスチンが使える今が最後のチャンスなんですよね.じゃあ来週患者さんが来られたときに、このアバスチンも一緒に使ってみることを、提案してみますよ。
- 専門医A :
- それがいいな。別に患者さんに無理強いする必要はないよ。正しいデータを説明して提案してごらん。後は患者さんが、今、タキソールだけで効いていても、さらにアバスチンも一緒に使って欲しいと思うかどうか・・さ。まあ、俺が治療を受ける側なら、今しかチャンスがないのなら、絶対使って欲しいと思うけどな・・
- 認定医X:
- しかし、タキソール使ってる患者さん、その患者さんだけじゃないですよ。他にも何人もいますよ。
- 専門医A :
- だったらそういう患者さんみんなに、この提案をしなきゃな・・・
・・・・某施設乳腺科の専門医Aと認定医Xの会話はさらに続きます・・・
注:「アバソール=アバスチン+タキソール、一般名ベバシタキセル、ドクターによっては タキソチンと呼ぶものもいるがきわめて少数である」