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News Release
医語よろしく
2011年1月~
【2011.11.14】
アバソール その1 (アバソールってなに?)
- 専門医A :
- なあ、再発乳がんの治療薬として最近使えるようになった「アバソール」って知ってる?
- 認定医X :
- 何ですか?ア・バ・ソールって・・? 「アバスチン」じゃないんですか、例の血管新生阻害剤、VEGFをターゲットにする分子標的薬剤「アバスチン」なら知ってるけど、「アバソール」って何でしょう?
- 専門医A :
- そ、そのアバスチンのことさ。
- 認定医X:
- だったら、アバスチンって言えばいいじゃないですか!?何でそんなややこしい言い方するんですか?
- 専門医A :
- このアバスチンって、タキソールと併用しなくてはならないことは知ってるよな。まあ、仮にタキソール以外の他の抗がん剤と一緒に使っても、アバスチンはそれなりに効果はあるんだろうけど、今回、日本の厚労省で再発乳がん治療に認められたのはタキソールと一緒に使うやり方だけ、つまり、アバスチンは必ずタキソールとセットで使いなさい・・ってことさ。だから「アバソール」。
- 認定医X :
- ・・・でも、タキソールって多くの患者さんで、すでに術後の再発予防の治療で使っちゃってますよ、だから、再発してからの治療で再度タキソールを使うタイミングなんて、まずないんじゃないですか?ってことは、タキソールの出番がないんじゃ、せっかく使えるようになったのにアバスチンを使うチャンスもない・・ってことでしょ?
- 専門医A :
- って、ふつうの先生は、そう考えるわな! 「再発治療でのタキソールの出番はほとんどないからアバスチンも使う機会はない」って、そう思ってンだろ?
- 認定医X:
- 僕って普通のお医者さん・・なんですか?一応乳癌学会の認定医なんだけどなあ・・
- 専門医A :
- 認定医なら、もっとよく臨床試験の結果見てから判断したほうがいいよ。
- 認定医X:
- たったら、アバスチンの出番って本当にそんなにあるんですか?教えて下さいよ!・・・
- 専門医A :
- 実は日本の承認前の臨床治験で、術後にすでにタキソールを予防投与した患者さんを対象に、再発してから今度は、タキソールとアバスチンを両方使って治療した例があるのさ(13例)。
- 認定医X :
- なんですって? タキソール使った後に再発治療でもう一回タキソールなんて、ほとんどの先生、そんな使い方した経験ないですよね。もちろん僕も一度もありません。・・へえ、臨床治験でそんな使い方したんだ・・・。で結果はどうだったんですか?
- 専門医A :
- びっくりすんなよ! タキソールをもう一度使う際にアバスチンも一緒に使うと、やっぱり1年くらいはがんの進行を抑えるってことが示されたのさ・・・
- 認定医X:
- そりゃすごいですね。
- 専門医A :
- そうなんだよ、ちょっと言い方代えてみようか。もし仮に、術後に予防投与としてタキソールを使ってしまっていても、再発が認められた時点で、これからもう一回タキソールが効くんだろうか?とか、タキソールは再度使えるんだろうか?とかタキソールのチャンスがはたしてもう一度あるんだろうか?なんて、難しいこと考える必要はなくて、単純にまず新薬「アバソール」を使えばいい・ってことさ・・・だって、そういう臨床試験の結果があるわけだろ。
- 認定医X:
- タキソールの前治療歴、有り無し関係なく効くってことですか・・それってすごくないですか・・
- 専門医A :
- だろう?でもって、もちろん、術後にタキソールを使ってない患者さんの場合は、再発治療では当然タキソールの出番があるから、そこでアバスチンをいっしょに使えば、タキソールの効き味を倍にするっていう相当の効果が得られるってことは、よく知ってるよね。 ということは・・・だよ、乳がん術後にどんな抗がん剤を予防投与していようが、要はタキソールを使っていようがいまいが、もし再発したらまず、タキソールとアバスチンがいいよってこと。だからタキソールとアバスチンを一緒に使う「アバソール」は、つまり、HER2陰性乳がんが再発したときに、真っ先に(1st-lineで)使うべき薬っていうわけよ。
- 認定医X :
- なるほど・・そういうことか。よくわかりました。じゃあ、もしHER2陰性の患者さんが次に再発して、抗がん剤治療が必要なら、まずは「アバソール」でいけばいいってことですね・・・・・
- 専門医A :
- そういうこっちゃ、さすが認定医!ピンぽ~~~ん!!
・・・・某施設乳腺科の専門医Aと認定医Xの会話は次号に続きます・・・
注:「アバソール=アバスチン+タキソール、一般名ベバシタキセル、ドクターによっては タキソチンと呼ぶものもいるがきわめて少数である」