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News Release
医語よろしく

2011年1月~

【2011.9.21】

創立10周年記念、同窓会(湖医会)定期刊行誌寄稿文
『医師は病院の外でも活躍できるか?社長業10年』

10月2日はブレストサービス社の創立10周年記念の日です。

私の母校(滋賀医科大学)の同窓会(湖医会)の定期刊行誌に、ブレストサービス社の10年の歩みを寄稿することになりました。以下はその文章です.皆様もどうぞご覧下さい。

湖医会会員の皆様こんにちは、昭和58年卒医学部3期生の宮内です。私は現在、乳腺専門医として診療に携わると同時に、乳がんを中心に医療全般に関する情報を提供するコンサルタント会社『ブレストサービス株式会社』の代表取締役をしており、今年でちょうど起業10年になります。このたび乳がん患者さん向けに出版した本を湖医会に寄贈した際、私の事業の10年の歩みと近況等を湖都通信で紹介せよとの渡辺会長からの依頼をお受けし、寄稿させていただくこととなりました。

私は母校卒業後、千葉大学旧第一外科に入局し乳腺外科ならびに乳腺細胞診を専門として学位を取得後、'91年より千葉県がんセンター外科に勤務しました。当時年間約200例の乳がん手術を手がけ、日本乳癌学会評議員、センチネル班研究班員など臨床、学会活動、研究などに携わり、2000年にはがんセンター初代の乳腺外科科長に就任しましたが、公的病院医師の立場では、自分の能力や専門性を十分に発揮することはできないと判断し、2001年にセンターを退職、ブレストサービス社を設立した次第です。

医者が株式会社の社長とは、いったい何をしている会社だ?と、不思議に思われる方が多いと思いますが、ブレストサービス社は、『医療がより快適に正しく行われるように、医師(専門医)が経験した知識という情報を、診察室(病院)の外で様々な方達に提供する』会社、つまり医療行為以外で医者が活躍する企業なのです。

情報提供をする相手先とその内容を具体的にご紹介しましょう。

  1. 1)
    患者さん、家族、一般の方、メデイアに対して:医療相談やセカンドオピニオンの提供、講演会講師、患者会顧問医、メデイアの制作物に対する医学監修、原稿執筆(今回の出版もこの仕事です。原稿料と印税は会社の収益になります)
  2. 2)
    医療関係者に対して:医師会、薬剤師会や院内の勉強会講師
  3. 3)
    製薬、医療機器メーカー、CRO派遣会社など医療関連企業に対して:メデイカルアドバイザー(顧問医)契約、社内研修の講師、病院見学研修のコーデイネーター(実はこれらの事業が最たる収入源です)

などです。

大企業などが進出しない小規模な専門的市場や、これまで注目されていなかった分野に着目し新しい販路を開発して生み出された産業は「すきま産業」と呼ばれますが、ブレストサービス社はまさにそのようなアイデア勝負の会社なのです。おかげさまで多くの方々や多くの企業(現在までに10数社)とお付き合いをさせていただいて、会社の収益も年々順調に伸びています。

私は臨床医として絶好調の40歳代前半に県がんセンターの科長職を辞し起業しましたが、皆様の中にも開業や職場替えについて悩まれ、ご自分の将来を再考中という方がいるかもしれません。もし今の自分の能力に見合う評価(役職や報酬)が得られていないと感じたり、今の職場で働く10年後の自らの姿が思い浮かばないのなら、ためらうことなく『翔ぶ』ことを奨めます。実は全国の乳腺専門医の中に、私の起業を見て踏ん切りが付いたと、クリニックを開業したり医療関連の新しい資格を取得したりと,新たな環境の医者人生を始めた仲間が何人もいます。

現在私は、千葉大同門の先生方の乳腺クリニックや検診センターでの診療の仕事と会社の仕事が、携わる時間も報酬もちょうど半々です。どちらが本業か?と聞かれたら「どちらも本業です」と答えます。もともと患者さんと接することが大好きですし、さらに、もし私が臨床から離れると専門医としての経験や知識という「会社の商品」は錆びてしまいます。生涯私は、乳腺専門の臨床医かつ最新の医療情報を提供する会社の代表で居続けたいと思っています。

  • ブレストサービス株式会社 http://www.bsvc.co.jp/
  • 著書「あなたに最適な情報で乳がんに克つ」著者:宮内充,出版:二見書房
    amazonから購入できます。

最後になりますが、このような機会を与えてくださった渡辺会長のご厚意に深く感謝いたします。母校と湖医会のますますの発展をお祈りいたします。