「けど・・」付きの良い先生？

患者さんとの医療相談の最中のこと。結局今の主治医が気に入らなくて、納得できなくて、愚痴を聞いて欲しくて、僕のところに医療相談に来ているのだから、あたりまえっちゃあ、あたりまえだけど、自分から主治医の事を言うときに、「主治医の○○先生は良い先生なんだけど・・・・」と、必ず、けど・・をつけてから、次の言葉を続ける。

「○○先生はよく説明してくれて良い先生なんだけど、でも思いやりがなくて、患者の気持ちなど全く関係なしに怖い話を平気でする。こっちだって病気のことはわかっているし、治りたいから病院に来ているのに、がんばって治療しようよ、とか、しっかりやったら大丈夫だよ・・って、ちょっとでも言ってくれたら元気がでるのに、優しい言葉なんか一言もかけてくれない。あんたの病気は進んでいるンだからとか、軽々しく考えない方が良いよ・・と、あんな話ばかりじゃ、毎日落ち込んで病院から帰ってくるしかない・・」ってな具合で、実は、けど・・・以下の愚痴の方がよっぽど長くて、深刻である。だったら、「良い先生だけど・・・」なんて、枕詞は付けなくても良いと思うんだが・・

患者さんは一応、自分の主治医だから、敬意を表してそういう言い方をするのだろうか？はたまた僕がひょっとしたら○○先生と実は懇意にしてるかもしれないので、愚痴を言ったらばれてしまうとからと遠慮して言っているのだろうか？気を遣って遠回しに言っているようだが、全く遠くには回りようのないくらい真実の愚痴をたくさん付けてくれるので、「けど・・」の接頭語は、全く意味はなさない。

まあ、有名どこの施設の医者なので、名医だの実力医のなにやらだの、やたらメデイアが取り上げており、本人、「患者さんの話を良く聞き不安を与えないようにすることを診察に際し心がける」と名医何チャラのＨＰでのたまわれているのだが、僕のところに医療相談にくる患者さんと、どっちがウソをついているんだろうか？

ま、いっか・・良い先生かそうじゃないかは、本来患者さんが決めること。僕は、患者の言うことを100％信じる。手術件数や病院の規模、いかにも有名な専門施設だからといって、平気で「名医」の称号を与えるメデイアのアホさ加減にもあきれるが、それしか素人が判断する材料がないとすれば、微力ながらそんな病院や医者は、僕の「名医、実力病院」のリストには、載せないだけの話・・・当然患者さんにも奨めない。

自分の知らないところでの「けど・・」付き評価は、やっぱり専門医としては情けない。
「けど・・」の付かない、ホンモノの良い先生になりたいモンである。