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News Release
医語よろしく

2010年1月~

【2010.4.16】

St.Gallenコンセンサス会議の歩みから見た乳がん個別化治療の進歩
― 病理学的検索の重要性を知る ―

来る平成22年5月22日(土)開催予定の
千葉乳腺疾患研究会の演題抄録です。

乳がんの術後(術前)全身薬物療治療はこの10年ほどの間に大きく様変わりしましたが、特筆すべきは、薬物療法を選択する際に必要な患者さん個々の情報量が,著しく多くなったことです。

90年代当初、術後の薬物療法の選択は、せいぜい腫瘤の大きさと腋窩リンパ節の転移状況から判断されるに過ぎませんでしたが、最近ではそれらに加えて

  • 女性ホルモンの感受性を持っているかどうか(ホルモン受容体)
  • HER2(がんの増殖に関わる因子)の発現状況はどうか
  • リンパ管や毛細血管など脈管内にがんの浸潤が確認されるか
  • 細胞の増殖に関与するたんぱく質の量(Ki 67)はどうか
  • 細胞の顔つきはどうか(核異型度・悪性度)

など、より多くの臨床情報が薬物療法選択の判断基準として加わりました。

これらの情報は、実は、すべて病理学的(顕微鏡レベルの)調査から手に入るものであり、最近では、個々の乳がん患者さんに対して有効で無駄のない治療法(個別化治療)を決めるためには、病理検査はなくてはならないものになったわけです。
今回は、世界中で認められた薬物治療のルールブックとも言うべき、St.Gallen会議の歴史をひもとくことで、いかに現在の個別化薬物治療を行うために病理学的情報が重要になってきたかを、再度確認してみましょう。

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