? 超早期がんの検診?|医語よろしく|乳がん情報ならブレストサービス
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News Release
医語よろしく

2009年1月~

【2009.9.25】

超早期がんの検診?

いつも通っているスポーツクラブでのこと。受付の女の子の声で、館内放送があった。
「会員の皆様にお知らせいたします。10月1日より○○クリニックとの提携により、施設内採血検診を始めます。本年度はメタボ検診とがん検診、特にこのがん検診は、最先端の高額な医療機器を使用せずに、わずか5cc程度の採血で腫瘍マーカーを測定し、超早期の各種がんの発見が可能です。皆様ふるってご参加ください。」
ちよっと、まったあああ・・・!!おネエさん、「チョーソーキ」がんっていったいなんなの??そんなんが採血だけで見つかるってかい?!?!?

腫瘍マーカーの検査は、がんが作る特殊なタンパク質をみているので、少なくともがんのボリュームがある程度の量にならないと、血中の測定値は異常値を示さない。つまりマーカーが異常値を示していること自体ががんのボリューム(腫瘍量)が少なくないことの表れなので、マーカーだけで「チョーソーキ」がんが発見できるというのは、理屈としておかしい。

腫瘍マーカーによるがんのスクリーニングが、意味がないわけではない。自覚症状が出る前にマーカーが陽性に出て、あらためて消化管の内視鏡検査やCTその他の詳しい検査を受けた結果、がんが発見されるケースはあるだろうが、それは決して「チョーソーキ」がんを発見したことにはならない。チョーがつくかどうかわからないが比較的早期の発見が期待されるのは、せいぜい前立腺がんのPSA検査くらいだろう。こんなふうにきわめて特異的に異常値を示してくるマーカーは他のがんではほとんど見あたらない。

乳がんで考えてみればよくわかる。5ミリのしこりで見つかったら乳がんの発見としては上々上出来。それを超早期乳がんとは呼ばないが、その患者さんの採血をしてもマーカーが異常値を示しているとはとても思えない。

また別のケースでは、人間ドックで乳がんの腫瘍マーカーが正常値・・というので、すっかり乳がんはないものと安心していたら、2ヶ月後に胸にしこりが見つかり、精密検査の結果、約2センチの乳がんと診断された。「マーカー値正常」っていったいどういうことですか?と後からクレームをつける患者さん。

こんなことは、全くよくある話なので、腫瘍マーカーによるスクリーニングでがんが発見できるなどとは、まともなお医者さんなら絶対言わない、少なくとも、チョーソーキがんが見つけられるなど言ったら、おおぼら吹いた罪で絞め殺されてもしかたない。

受ける個人が費用を負担する「検診・健診」の検査であっても、こんないかがわしい案内の仕方を許しておいていいのだろうか。知らずに大枚はたいて、全く意味のないチョーソーキがんスクリーニング採血検査を受けさせられる会員たちが気の毒である。とはいえ、素人のジムのスタッフ相手に意見するのも大人げないし、もし文句つけるとしたら、提携するという○○クリニックに言うべきだろうが・・投書でもしてやろうっと・・・