医語よろしく
2008年1月〜
2008.9.5
「第3世代乳がん若手の会」BCF
日本乳癌学会は年に一度総会が開かれるが、それにあわせて全国の若い乳がん医者の懇親会を総会初日の夜に開催し、今年でもう15年になる。この飲み会を始めた頃は多くの先生方が、30代半ば・・病院内、外科スタッフの中でのポジションから見れば、乳腺を専門にバリバリやってはいるが、自分の上に部長ないしもう一人くらい上の先生が居るという立場、せいぜいナンバーツー 多くはナンバースリーなので、「第3世代乳がん若手の会」BCF Breast cancer fellowship (実は英語はさっぱり正しくはないが・・)という名前の懇親会としてスタートした。

最初はほんの10数人の集まり、今ほどまだ乳がんの診療が注目されていたわけでなく、それでも皆若いなりに、乳がんのことを真剣に考え、患者さんを思い、熱心に診療、研究、勉強して、今に見ていろ俺たちだって・・と威勢が良くて、心が熱い若手乳がん医者の集まりだった。もちろん顔も名前も所属も全員わかっており、彼が今どこの病院でどんな研究をしているのか、今年の学会ではどんな内容で発表をしたのか・・・みんなの顔がわかる仲の良い連中の飲み会だった。

参加者は年々増加し、最近では参加者は医師のみならず、看護師さんや検査技師さん達まで上の先生に連れられて参加してくるため、総勢100名を超える大飲み会になってきた。お医者さんなんぞ所詮わがまま放題な人種なので、「出席の予定」と事前に返事をしておきながら平気で当日ドタキャンするし、予定では一人で参加・・なのに、今日はうちのスタッフ5人連れてきた・・突然の参加者増加。その年の当番幹事は乳癌学会が開かれる都市のご当地の先生が担当することになっているが、数十人ならまだしも、100人を超える会がこんなにアバウトで行き当たりばったりでは、会場探しや予算、店との交渉など、幹事の先生の心労はなみなたいていではないし、えらく迷惑をかけて飲み会をやってきたことになる。

さらに、これだけ集まると当然の事ながら、がやがやと実に活気があって華やかなのであるが、正直、参加者がどこの誰だかさっぱりわからなくなって来た。当然数時間の限られた時間に、全員とコミュニケーションがとれるわけでもないので、終わってからも何となく消化不良、「にぎやかだったね、ところであの人どこの誰?」

そうは言うモノの、学会会場でなら座長や特別講演演者、パネリスト、シンポジストとなど常に壇上に登っている偉〜〜〜い先生 有名な先生、ビッグネームと、一緒に飲んで話が出来る・・などというワクワクするような時間は、特に若い先生や技師さん達にはたまらなく楽しいことだろう。

その上、これだけの大人数がひょっとして何かでまとまれば、たとえば共同研究するとか、分担して出版物を作るとか、やる気になれば乳癌学会の役員の選挙の票集めすら可能になるかもしれない・・が、この会が、実は会則も規則も一切縛るモノのないアバウトな会ではあったが、唯一の約束事として「政治は介入させないこと」・・・であって、年に一度のその日限りのただの飲み会・・としてやってきた。ひょっとするとこれまで15年もの長いあいだ無事にやってこられたのは、妙なしがらみや思惑を入れず、ただひたすら「単なる飲み会」に徹したおかげであったのかもしれない。

特にこれから伸びていく若いスタッフ達のためにも、15年も続いたこの会はある意味で、「財産」に等しいが・・しかし・・・である。どうもここ数年、目的がはっきりしなくなってきた。若い新しいメンバーが年々増えてくるのは望むところだが、やっぱり隣にいるのがどこの誰やら会の終わるまでにも、わからないまま・・ってのは良くない。顔の見えない飲み会では、いったいなんのための「懇親会」??でかくなりすぎて、収拾がつかなくなった感がある。

さらに、どうも当初の15年前の若手の先生達が、今やそこそこの立場の役職になり、もちろん施設のナンバーワンでばりばりやっている先生も多くなって、偉くなれば何かの検討会や製薬メーカーがらみのミーテイングで、年に何回も全国の仲間と顔を合わせることも多く、となると昔のようにこの会(BCF)に出席して仲間と会って飲むことが、実はあまりワクワクしなくなってきたようだ。場合によっては立場上、同じ時間帯に別の懇親会へも出席しなくてはならないこともあり、いよいよこの会をどっぷり大事にしようという、昔からの先生方が極端に減ってしまったのも、この会がつまらなくなった理由なのかもしれない・・・

・・ま、当初のメンバー達が楽しいと思えなくなった、飽きちゃった・・・のであれば、もうここらで幕を引こうかと思う。9月末大阪で乳癌学会が開催されるが今回を持って、このBCFは解散しよう・・・と考えている。当初この会の言い出しっぺの一人である新潟の牧野先生をはじめとし、何人かの古くからの先生方にはある程度、散会の了解はいただいているのであるが、当日いかにこの話を進めていくか、いささか気がかりではある。

「なんでやめんだよ?」「若い連中のためにもこの会は続けるべきだろ!」という意見は必ず出ると思う。ごもっともなご意見ではあるが、開けてみなければ何人くるやらさっぱり見当がつかない、とんでもなくいい加減な大人数の飲み会を仕切る幹事の大変さをご存じないか、また反対意見を述べる先生が若者のためという理由で、自らを犠牲にして忠実にこの会を今後仕切っていく覚悟があるか・・というと、きっと・・・単なる反対意見にすぎず、この会を継続する強い意志や熱い気持ちは持ち合わせてはいないだろう。

しかし、やはり若い先生達にはこの会や仲間のつながりをそのまま引き継いでもらいたいと思う。30代から40代にかけて、一番の伸び盛りの時に、若い連中が全国の仲間達と支え合い、切磋琢磨し、時に厳しく基本仲良くやっていくことは絶対に必要だと思う。BCFの当初のメンバー達が、全国の仲間を大事にしたことは、今思えば当然の流れであって、それこそが我らの財産、乳がん医者としての今の自分があるのも、この会の存在や仲間達がいてくれたおかげである。

若い先生達へ・・・
「もし必要と感じるのであれば、どうぞ先生達がこの会と全国の仲間達の輪を引き継いでください。この会を君たちにバトンタッチします。古くからのおじさん達はこれでこの会とはさよならします。しかしおじさん達はきっと次の楽しいことをもくろんで、また自分たちで仲良くやっていくので心配しないでください。そのうち君らがそこそこの年になったら、またおじさん達の仲間に入れてやるよ・・」
まだ、正式に散会が決まったわけではないが、まずこういう流れで月末のBCF懇親会が最後になるであろう。

これまで自分を育ててくれたBCFと、多くの仲間の先生達に感謝します。ありがとうございました。


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