医語よろしく
2008年1月〜
2008.6.17
自動会計精算機とホスピタリティ
クリニックに通院中の患者さんに、がん専門病院の診察を受けに行ってもらった。目的の診察は無事終わり、さて最後に会計を済ませようとしたところその窓口がない。担当者は一人もおらず、代わりに何台かの自動会計精算機が並んでいて、その機械で会計をせよという。もちろん初めての経験なので機械がちゃんと扱えるかどうか不安げに操作をしたらしい。会計が無事済むと機械が「お大事に」ってしゃべったのかと思えば、精算機はウンともスンとも、なんにも言わなかったそうだ。

以下はその患者さんの感想。
「機械で会計するなんて味気ないったらありゃしない、やっぱり人から手渡されてお大事になさって下さいって声をかけてもらうことで、私たちは元気をもらえるのに・・いくら会計処理が早くなるからといっても、私はあれはイヤ。少し時間がかかっても、たくさんの人が私に関わってくれているほうが安心できるんだけど・・・」

ごもっともな意見。その病院はいつからそんな風にしたんだろう?ひょっとしたら今はやりの病院機能評価は、時間短縮のため会計処理を機械化することを推奨しているんだろうか・・・そのうち、診察券かその日の受付番号を入れると、点滴や採血をロボットアームがやってくれるのか?・・・・勘弁してよ、ぞっとする。

病院(ホスピタル)の語源は「ホスピタリティー」、つまり親切なもてなしを提供すること、ホテルやホスピスと同じである。「おもてなし」とは「モノを持って成し遂げる」という意味、モノとは商品のこと、病院なら医療行為そのもの。しかしふれあうことやコミュニケーションによって相互の信頼関係が存在しなければ、それを「成し遂げた」ことにはならないだろう。

大学の医局に在籍していた頃、デイスニーランドで働くスタッフ達のための診療所へ診察のアルバイトに行ったことがある。オリエンタルランドという会社が、デイズニーランドのスタッフを供給しているのだが、そのスタッフ達のための診療所(オリエンタルランド診療所)はデイズニーランドの塀の外にあり、「塀の内と外とで、圧倒的に違うことがひとつあるんです」・・・と、オリエンタルランドの会社の人が教えてくれた。

塀の内側、つまりデイズニーランドの中には自動販売機はない。商品はすべてお客さんへ手渡しをすることが原則。手渡しするときに「夢」を一緒に渡すためなんだそうだ・・・・・その代わりに塀の外では人の手は一切かけず、すべて自動販売機で買う、職員の飲食するものには別に夢ももてなしも必要ないからその違いは徹底している。お客さんの居る塀の中では文字通り思いっきり「手をかける」。その接客の姿勢は言われてみればあたりまえのこと、おもてなしとは「手で成す」ことなのかも知れない。たしかにミッキーマウスの形をした自動販売機からお菓子がでても、子供達に「夢」を渡せはしないだろう・・・

その大病院では最近スターバックスがはいって院内でおいしい珈琲が飲めるようになったと聞く。スタバを病院に入れようとするホスピタリテイとこの会計自動精算機の「おもてなさず」が、どうしても私の中では一致しないのだが、皆さんはどのように感じるだろうか?


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