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医語よろしく
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■2007年1月～
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 2007.4.12
重篤な副作用！？
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乳腺クリニックに通院している患者さん（Ａさん）にお出しした処方箋のことで、市中のある薬局の薬剤師さんから電話で問い合わせがあった。
Ａさんには術後の再発予防のため閉経後のホルモン治療薬（アロマターゼ阻害薬）をお飲みいただいていたが、理由があって抗エストロゲン剤（タモキシフェン）に処方を変更した。この薬剤師さんは、以前からＡさんと懇意にしていたため、なぜ薬が変更になったかを尋ねられたが、その後にこんなやりとりがあった。
薬剤師さん「Aさんには本当はアロマターゼ阻害剤の方が良いんでしょ？」
私「それは確かですが、でもそれが何かの原因で続けられなくなったら他の薬で治療しなくてはなりません。実はタモキシフェンでも十分な再発抑制の効果がありますし、もう何十年も使われてきた良い薬なので、心配には及びません」
薬剤師さん「それに、今度のタモキシフェンってのは、子宮体がんという重篤な副作用がおこるって、きちんとＡさんにお話ししておかなくてはならないですよね。怖いですよね」
・・・
これに対して私がどのように返答したか、当社ＨＰをご愛読いただいている皆さんであれば容易に想像がつくだろうが・・・そのまんま、東こくばる・・・で書いておこう。
「あのねえ、重篤な副作用・・って、あなたはいったいどういう情報提供を患者さんにしようってんですか？素人さんの患者さんが聞いたら、これを飲むとかなりの危険度で子宮体がんが発生し、命に関わる危機的状況になる・・とみんな勘違いしますよ。そんないい加減な情報提供をするから患者さん達は、子宮がんになる薬だから飲みたくないって、この薬を拒否するんじゃないですか・・・いったいどのくらいの頻度で子宮体がんが発生するのかご存知なんですか？（0.8%）、見つかる子宮体がんがどのくらいのステージなのかわかってます？（ほとんどが早期がん）。もっと大事なことは、これによってどれだけ多くの患者さん達が再発を免れて乳がんが治るかあなた知ってるんですか？（再発抑制効果40%）そういうことを、的確に患者さんにお伝えしなさいよ・・・ただ、重篤、じゅうとくって、ただ深刻に話しゃいいってモンじゃないでしょ・・・まったく！！」
薬剤師さんはその後、蚊の鳴くようなか細い声で「すみません」とは言っていたが、果たしてちゃんと理解してくれただろうか。
おりしも、モルヒネなどの麻薬による緩和治療に特化した専門薬剤師の育成を目指すことが、厚労省や日本緩和医療学会で決まった。麻薬などというと、ますます怖い薬のイメージが先行する。これを使うと寿命が縮む、だから少しくらい痛くても苦しくてもなるべく使わないように我慢すべきだ、と勘違いしている患者さんやその周りの人はやたら多い。ついでに薬剤師さんまで怖がっていては、十分な緩和医療体制はまったく進まない。
今、インフルエンザ治療薬タミフルが、大きな問題を投げかけている。 厚労省も調査中ということなので、今現在で細かいコメントは差し控えたい。しかし、ある男性がおもしろいことを言っていた。実はスポーツジムで知り合った年配の男性であるが、ちょいとガラッぱちのべらんメえで、何でもかンでも千葉弁で大声でしゃべる威勢のいいおぢさん・・久しぶりにジムのサウナで一緒になった。
お久しぶりですね・・
「俺よお、先週インフルエンザにかかっちゃってよお、ひでエ目にあっただよ。熱は８度５分もでるし、体中のふしぶしは痛てえし、ふうふういって寝てたんだけんよお、ン～～でもタミフル・・ってありゃあ効くねえ・・医者行ってタミフルもらって夕方から飲んだら、次の朝、ケロっと楽になってさあ・ありゃすげえわ・・よ～～効くでえ・・・ンでもよお、ありゃアンだけ効く薬だかん、副作用も出っぺよ・・今テレビで言ってんでんよお・・他の風邪薬なんかぜんぜん効きゃあしねえけんど、タミフルはすげえワ・・そンかわりアンだけよく効くんじゃあよオ、副作用もきついっぺ・・んーでもしゃああんめえ・・」
この乱暴な結論づけが正しいかどうかわからないが、フィットネスサウナルームの他のお客さんは、あたかも噂のタミフルから無事生還した英雄でも見るかのように、当のおぢさんを眺めていた。
タモキシフェンとタミフルを同時に話題にしてこんがらがったらごめんなさい、しかし、「重篤な副作用・・・」って、よほど慎重に言葉を選ばないといけない・・医療関係の方々、とくによろしく頼みますよ。
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