医語よろしく
2007年1月〜
2007.2.7
 これでいいのか?乳がん検診! パート1
乳腺のマンモグラフィー検診が全国的にはじまって、そろそろ5年ほどになるだろう。今年度の自治体の乳がん検診もそろそろおわりかけ、年度内でしか使えない受診票を持って、たくさんの受診者が検診施設に殺到し始めるこの時期に、

乳がん3割見落とし? 40代マンモ検診で

という記事が3月5日の朝日新聞朝刊に掲載された。一般の方はせっかく検診をやっても3割も乳がんを見逃されているのか・・と驚くべき結果かもしれないが、乳腺の専門医からすれば、やっぱりそうだろう、当たり前じゃん・・・という気がしている。

乳がん検診後の地域住民の経過を厚生労働省研究班が追跡調査した結果、「乳がんがある人を、マンモグラフィーでがんと正しく診断できていた割合」(感度)を算出すると、40代の感度は71%で、つまり、ほぼ3割の乳がん患者さんが、マンモグラフィーでは正しく診断されず見落とされていた可能性があったという記事である。

40代は卵巣からのエストロゲンの影響により乳腺組織がまだ発達しており、当然なことにレントゲンでは乳腺そのものが白く影を作るため、そこに出来た乳がんの塊(腫瘤も白く影になる)を見つけようとすると、場合によっては白地に白丸(闇夜のカラスの反対)状態で、腫瘤はちっとも見えない。



それをカバーするために、一方向の内外(半斜め)方向:MLO(左右で一枚ずつで計2枚)の撮影だけでなく、頭尾方向の撮影:CC(2枚)を加えて、計4枚の2方向撮影で、検診を行っているバカげた自治体もある。一方向で見るより2方向で見た方が、より多くの異常を発見できるだろうという理屈らしいが、真っ白けの写真にしかならないたっぷりの乳腺組織の中の腫瘤は、いかに方向を変えて見ようとも、見つからないモノは見つからないのである。

従来は乳がん検診では一方向のみの撮影をしていたが、2方向にしたら精密検査に回る率(精検率)が倍になったかというと、けっしてそうはならない。むしろマンモグラフィーを読み慣れている医師になると、仮に一方向に腫瘤のような白い影が写っていても別の方向で写っていなければ、異常ないモノと判断して、精密検査に回すケースはむしろ減ってしまう。

乳がんの診断に関して、さほど専門でもない地域検診を請け負う委員達(医師?)や乳がん検診に興味のない事務方の人間ばかりで、検査内容を決めるから、こういうバカげたことに予算を使ってしまう。そのあげくが・・・見逃し率3割。2方向撮影(4枚撮り)などとっととやめにして、もとの一方向撮影(2枚撮り)に戻し、残りの予算で受診者の数を増やすか、もしくは超音波検診を併用した方が、よっぽど確かな検診になる。





新聞記事にもあったが、マンモグラフィーのどうしても避けられないこの見逃しをカバーするには、乳腺組織の厚さに関係なく腫瘤の描出能に優れる超音波検査を併用する方が良さそうである。

**乳がん検診をお受けになる方へ**
マンモグラフィー検診はけっしてすべての方に万能ではありません、特に40歳代のかたは、超音波の検査も一緒にお受けになることを強くおすすめします。

以上、乳腺専門医からのアドバイス・・でした。


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