医語よろしく
2006年1月〜
2006.3.1
 健康食品の臨床試験、その結果がもたらすものは?
セカンドオピニオンや医療相談にこられる患者さん達の約7割の方は、術前術後の薬物治療の事、再発(転移)してからの薬物治療の事をご相談されます。ご相談時間の最後に、もう一つだけお聞きしたいのですが・・と相談に来られたほぼ9割の患者さんが「健康食品」または「免疫療法」についておたずねになります。健康食品は何がおすすめですか?とか、免疫療法って本当に効くんでしょうか?と・・・。免疫療法(リンパ球云々治療)に関してはまたいずれお話しする機会があるでしょうから、今回は「健康食品」のことを話題にしましょう。

今回のニュースにも取り上げましたが、健康食品が果たしてがんに効果があるのかどうか?ようやく厚生労働省の臨床試験が始まりました。限られたがんの、ある一種類の健康食品ががんの発育を抑えるかどうか、その調査をするようです。

まあ、結果は見えていますけどね。健康食品にがんを治す科学的根拠はない・・って。しかし、本当に効果がない・・って言い切るためにはどのくらいの数の(患者さんの)調査が必要で、どのような科学的な手法をとって、いかに統計処理すれば、効果がない・・って言いきれるのだろうか・・ま、そういう。小難しい理屈は専門家に任せておいて、今回は結果が出たその後の事を考えてみましょう。

「健康食品はがんに効果見いだせず」と、新聞その他のメデイアで報道されたとしましょう。そのあと、患者さん達は誰一人として、その健康食品は使わなくなるでしょうか? その健康食品だけでなく、そこから波及し多くの健康食品の使用を、患者さん達は控えるようになるでしょうか。効果がないとわかっていても、使い続けたり、新たに使い始めたりする患者さんは決してゼロにはならないでしょう。

抗がん剤やホルモン剤など、病院(医師)から提案される治療法だけでなくて、患者さん達はおそらく自分でも何か治療に関わりたい、自分で決めたものを利用する事でがんとつきあう自分の人生を納得したい・・と考えるんでしょうね。病院で受ける治療はあくまでも自分で主導権を握って行う治療ではなく、イヤイヤながら?与えられて受ける治療であり、それに反して健康食品や代替医療は、自らが探し出し選択する、自主的な治療の意味合いが強いからでしょう。

制がん薬剤としては認められない、と、数十年にわたった承認のための作業を一切終了する、と、厚労省が結論を出したにもかかわらず、○山ワク×ンは、未だにその使用を希望する患者さんが後を絶ちません。

情報の不平等・・効果が証明されている(宣伝すべき)ものを宣伝してはならず(医療用医薬品:医師の処方が必要な薬は一般広告してはならないという規則)、効果が立証されていない(宣伝して良いかどうかわからない)ものに関してはその宣伝を規制するルールは一切ないので勝手に宣伝している・・の構図が、健康食品が重宝される大きな原因にはなっているのでしょうが。

仮に今回、この後者の「効果が立証されていないもの」が、本当に効果がないことが立証されたとしても、本来効果が証明されているものを一般広告で宣伝してはならないという、偏った情報提供の構図が変わらない限り、がん医療における健康食品の市場はなくならないような気がします。一般広告出来ない医療用医薬品ほど、お医者さんが自信を持って患者さんに良さを勧めないと、この不安定な情報の天秤は、決して良い側には傾きません。

「健康食品なんて効きもしないものに金を使うくらいなら、お孫さんにおもちゃでも買ってあげた方が、よっぽどあなたの免疫力が向上して、がんの治療のためになりますよ・・」などど、平気で患者さんに言い放つどこぞの大病院のアホ医者ほど、「この抗がん剤の奏功率は30パーセント、3人に一人しか効果がありません、吐き気は必発で体中の毛という毛が抜けます。治療中に白血球も下がり38度5分以上の高い熱が出ることもあり・・」と、知ったかぶりの抗がん剤情報をこれでもかと言うほど患者さんにインプットしちゃったりして・・・そりゃあ、そんな情報提供されてしまえば、効果がない健康食品の成分と同じものが入っていると知りつつも、「私には効くかもしれない、○のモン○さんも、免疫力が上がるってテレビで言ってたし・・」って、がんを抑える効果のないことを、免疫力向上というマジックですり替えて、患者さんは相変わらず自ら選んだ「がん治療法」に邁進していくのでしょう。

さてさて、健康商品の臨床試験の結果はいかなるものになりますでしょうか・・というより、その結果をどのように患者さん達に伝え、いかに理解して頂くべきか・・今以上に頭を悩ませる事にならなければよいのですが・・掲載したニュース(新聞記事)の最後にありますが、患者さん達が無駄なお金を使わなくてすむことになる・・というのは、医療従事者側から見た意見であって、無駄と感じるかどうかは患者さん個人の問題だろうからなあ・・・



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