医語よろしく
2005年7月〜12月
2005.8.30
 紹介先病院の決め方・・VOL2
数年前、後輩の医師に「先生はプライドが高いから人の評判ってとても気にするでしょう」と言われた。そりゃ、尋ねてるお前の方がよっぽどプライド高いんじゃないの・・なんて思いつつも、でも、そういえば人の評判は気にならなくはないし、むしろ大事にしている方かもしれない。かといって、悪い評判に対して過敏に反応するというわけでもないので、評判の善し悪しは自分で適当に処理出来るだけの大人の感性は持ち合わせているのだろう。人の評判が気になって仕方ないのならおそらく安定した公務員の生活を辞めたりはしなかっただろう(?)から、評判にはおおらかに対応するすべは持ち合わせている。もっとも悪い評判というのはほとんど聞いた覚えがないし、それは自分に聞こえてこないだけか、本当に評判が悪くないから聞こえないのか・と半分うぬぼれもあるが・・

ヒトを相手にする商売で良い評判を得るのはそうそう簡単ではなさそうだ。しかし医者が良い評判を得るには、別に、特別な工夫や技を駆使しなくとも、ふつ〜〜〜にまじめに、患者さんに対してきちんと相(あい)対してしていれば、評判はあとからちゃんとついてくるモノであるが、実はこの「ふつうにきちんと」が出来ていない医者がとっても多いような気がする。自らの評判を落とそうと思って診療する医者などいるはずもないが、ふつ〜でなくまじめでなく、患者さんに対してきちんと接しなければ、その医者や病院の評判なんてあっという間に・・最低!!になってしまう・・・まあたいていの場合、そういう医者は、自分がふつ〜でなくまじめでなく患者さんに対してきちんと接していないことに気づきもしないのだが・・

こういう仕事をしていると、患者さんからどこの病院のどの先生がよいのですが?とか、先生がお奨めのイイ先生を紹介してください・・なんて事をよく言われる。もちろん極力「良い」と思われるドクターをご紹介するようにしてはいるが、医者と患者さんの間柄は人としての「相性」みたいなモノがあるので、一概に、ここでなきゃだめ・・なんて紹介のしかたはしない。しかしここで治療を受けるのは、やめたほうがいい・・」っていう病院は少なからずあるし、「この先生のところにわざわざ受診に行くのはどうかと思う」っていう医者も決して少なくはない。

「こういう仕事をしている話」ついでに、どこそこ病院のだれそれ先生について、あの先生のやってることちょっと変だぞ、そんなんじゃあ、あの病院には患者さんお願いできないな・・っていうのが単に僕の好き嫌いで判断してしまっては、医療情報を提供する側、相談役としてはむしろ失格である。より確実で標準的な治療を提供してくれていて、わかりやすく説明をし、かつ患者さんの話を良く聞いてくれるかどうか・・、それを客観的に判断して、お願いできそうな先生かどうかを決めなくてはならないのだが、実際その先生の診療の様子を拝見したこともないし、それを客観的な尺度で判断しうる資料もない。

となると・・・先の「評判」というので、推し量るしかないのであるが、これがまた多くは、えらく主観的な感覚的な尺度なので、どうしても「正しい評判」なのかどうか、患者さんたちにお伝えするのに躊躇してしまう事もなくはない。

自分がある人に対し「彼はこんなだからあまり評価できないな」と思っていると、実は他にも同じような事を思っている第三者は、結構たくさんいて、なんだ、俺だけがそう思ってるわけじゃないじゃん、やっぱり自分の評価はそんなにはずれてなかったな・・と思うことは、日常的にも良く経験することではなかろうか・・・

医者の側だけの判断では、もし万一「物さし」がまっすぐでなかったら困るので、やはりそういうときには、患者さんの評判、生の声がなんといっても一番確実な物さしになる。

しかし、ある一人の患者さんだけから、ぼろくそな評判を受ける医師が、実は他の多くの患者さんからは高い評価を受けているとしたら、単純にその患者さんと相性が合わなかったのか、それともその患者さんの方が特殊なパーソナリテイのために、そのようなドクターの評価をしたのか・・・つまりその評価は「誤差」として処理しなくてはならないこともある。

ところがどっこい、一番良くあるパターンは、ある時あるところで某病院○○先生の悪い評判を患者さんから聞くと、時と場所を違えても同じように悪い評判を、別の患者さんから何度も聞かされることがある。つまりそうなると、確率の問題で、よりたくさんの患者さんからそのように「悪い」評判をもらう先生であれば、やっぱり「良くない」先生なンだと判断して、評判の物さしにして良かろうと思う。つまり、多くの患者さんからの声は、やっぱし正確な「評判」である。

こういう仕事をしていると・・のついでのついでに・・・、実は、またか・・と思うほど次から次へと、患者さんからの不満や、お小言をたくさんいただく先生が、だんだんと限られてきている。ある患者さんから○○先生の良くない評判を聞くことは、最近では決してはじめてではなく、あ、またあの先生か・・ってつまり、○○先生は悪い評判を受けるリピーター状態なのである。あア、あの先生ならこういう不謹慎な対応をするはずだな・・とか、やっぱりそんな態度で接するのはあの先生のいつものやり方なんだよな・・とか、そんなむちゃくちゃな治療方針を提案するのはやっぱりあの先生だろ・・とか、悪い評判リピーター医師は、大体パターンが決まってきている。いくつか例を挙げてみよう。

手術まではとっても一生懸命で優しく診てくれるのに、術後は一度も病室にも顔を出さないし、外来でもまるでつれないドクターに変身してしまうのは、都内の○○○先生のやり口なんだよ。ネエ、患者さんのこと、あのババア・・・なんて呼び方しないでよお願いだから。

あなたは特殊なケースだよ、僕は長年やっているけどこんな患者は初めてだ・・と、患者さんを症例報告の論文のタネくらいにしか思っていない、超失礼な○○○先生って、結構有名な偉い先生なんだけどなあ

ろくに説明もなく、このしこりは灰色だから一刻も早く切らなきゃだめだ・・というむっちゃくちゃな理屈を展開する西○○の○○外科の先生。マンモグラフィーはもちろん読むが未だに触診の技を追求しているらしい。触診だの切って調べるだのが大好きな古〜〜いタイプの外科医・・

前回の細胞診はクラスU、今回はクラスVで悪くなってるから、切りましょう・と言う、どうやら自分で顕微鏡見て細胞診のレポートを出しているらしいが、この先生たしか細胞診が得意だったはずだよね・・

独自の治療方針でセンチネル温存手術を展開し、この治療方針が一番かのように自信たっぷりに患者さんに吹聴する割には、運悪く再発をしてしまった患者さんには、俺が悪いんじゃないと弁解しまくり、患者さんが不審がって病院をかわりたい・・と言い出そうモノなら、待ってましたとばかりに、引っ越し業者が荷造りしなくてはならないほどの山のようなレントゲン写真やカルテのコピーを付けて、転院先の先生に自分の非のない事を弁解し、くれぐれもよろしくお願いします・・やれやれ、いなくなった・・ほくほく・・のおきまりの超いい加減な○○先生とか・・・

あなたは再発したんだよ、治りっこないじゃん、いい加減なサプリメントに金を使うくらいなら、お孫さんにおもちゃでも買ってあげた方が、よっぽどあなたの免疫力が上がるんじゃないの。と、医者の風上にも置けぬ無神経な発言をするのは、某有名がん専門施設の○○先生。

転移した乳がんは治らないんだから、強い抗がん剤の治療をやっても無駄でしょう、だから、普通より量を減らして無理な治療はしないことが一番あなたのためになるんじゃないの・・・と、抗がん剤治療を全く理解していない○○大学の○○先生とか・・・

セカンドオピニオンを受けたいだア?どこ行ったって俺の治療と一緒だよ。そんなに気にいらないなら、もう診ないからな!・・・てなおっかネエ事言う先生は、実はあの先生とこの先生とその先生・・

書いているだけでも腹が立つほどのいい加減ぶり、アホさぶりのドクターたちである。どう考えたって、こんな医者に大事な患者さんをご紹介するわけにはいかないだろう。

先月の原稿の中で、今回の記事はブラックリストの病院、医師・・なんて予告編を出したモノだから、実名入りでブラック君たちが出てくるのかと思われた方もいるかもしれないが・・さすがにね・・・その病院でその先生たちにかかっている患者さんたちもたくさんいることだし、きっと信頼関係が出来ていて相性も良いんだろうから、そういう人には全然ブラックじゃない。だからそこまではやりませんけど、僕の知人や新しくその先生をご希望の患者さんには、やっぱりお勧めしませんネ。

何かの機会にもしうちで医療相談やセカンドオピニオンなどで、直接お話が出来るときには、あそこのなんとか先生の評判はどうでしょうか・・なんて尋ねてもらえれば、そのときにははっきり「NO!ヤメなさいお勧めしません」と言ってあげますよ。

患者さんからの評判は・・・・怖いよ〜〜〜確かだよ〜〜〜。ホントに間違いないよ・・・・ブラック先生たち!





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