医語よろしく
2005年7月〜12月
2005.7.26
 紹介先病院の決め方・・VOL.1
都内で開業する某クリニックの先生からおもしろい話を聞いた。その先生が所属する地区医師会の先生たちは、自分のところから大病院に、がんの治療(主に手術)を必要とする患者さんを紹介するときには、必ず国○○ん○○ター中央病院を紹介するンだそうだ。

近くには池袋から4月に移転してきた○研病院もある(ここだけは未だに病院名に漢字の「癌」の字を使っている古いタイプの病院のようだが)し、最近特に良く名前が出てくる聖○加○際病院もあるし、都内の東南地区では、名のあるがん専門病院には事欠かないのに、ほとんどの開業医の先生たちが、築地の国○○ん○○ター中央病院に患者さんを紹介することにしているらしい。

やっぱり病院間の競争は激しいけれども、がん専門機関としての確たる地位を手に入れたんだな、さすが国○○ん○○ター中央病院・・・・なんて素直に考えていたらとんでもhappen! どうやらまったく別の次元にその理由があるらしい。

じつは、国○○ん○○ター中央病院では患者さんの手術が終わると、その後は地域の病院に患者さんを戻す方針をとっている。そう言えば数ヶ月前の新聞紙上に、○ん○○ター中央病院では手術が終わったら患者さんを地元にもどすことを、病診連携の一端として宣伝していた事を思い出した。と書くと聞こえが良いが、要は、手術をしたらもうそのあとは診ない、患者さんがいっぱいで診ていられない・・・から、患者さんはとっとと地元へ帰って、そちらの病院で診てもらえ・・ってことのようだ。

国○○ん○○ター中央病院では手術件数が増え過ぎて病院がパンク状態なんだそうだ。とても手術が終わった患者さんまで抱えてられないので、「手術まではめんどうみるよ、でも終わったらとっとと地元にもどれや」・・どうも手術至上主義のような「偉そうな」雰囲気が漂ってくるが、果たしてがん専門病院でなくてはやれないような、複雑な大手術がいったいどのくらいあるというのだろう?

がんの手術のほとんどは、きっと一般病院でも十分まかなえるはずであるが、患者さんがブランド志向で「がんの手術はがん専門病院で」とか「マスメデイアのあおる年間手術数何件以上ががん治療の優秀な病院」かの世の風潮から、ますます「手術だけはうちでやってるよ」的、おばかな外科医の集団がもてはやされているような気がして仕方ないのであるが・・

本題に戻そう。国○○ん○○ター中央病院で手術が終わると、必ず紹介もとの開業医の先生のところに患者さんは戻されるので、開業医の先生は慢性疾患指導料の取れるがんの患者さんの術後経過観察の診療を担当できる、と言うメリットがある。だから、必ず自分のところに戻してくれる○ん○○ター中央病院で、手術を受けるように患者さんの紹介先を決めると言うことらしい。

先月も意見したが、乳がんの診療の流れを考えると、手術よりも術後の方がずっと永くて、ずっと手がかかる。薬の出番は多いし、とにかく患者さん病院とは一生のおつきあいである。だから、必ずしも手術が一番大事で・・てなワケでもないのに、なぜ手術が治療の中心であるかのような診療体系が未だに強く残っているんだろう。胃がんだって大腸がんだって、手術が必要ながんを扱う専門科は多いが、じゃあ乳腺とはまったく異なり手術だけで完結・・なんて事はあり得ないので、この理屈はなにも、乳腺領域だけの話ではないだろう。

乳がんの術後の経過観察は、そうなると、抗がん剤の治療やホルモン剤の内服治療も含めて開業医の先生の裁量でお願いする事になるが、ゆめゆめ、「うちではそんな量の抗がん剤は扱えないから、適当に量を減らしてやっておこう」とか、「こんな強い副作用の対応は出来ないから、そんなに無理しないように薬の使い方を(いい加減に)工夫しよう」なんて事にならなければ良いのであるが・・

病診連携というのであれば、大病院と同じ質の医療行為が確実に診療所にバトンタッチされることが何より必要なはずなのに、かたや「忙しくて面倒くさくて診てらんないからお前んとこで頼むよ・・・」「ハイハイわかりやした、ようやく僕が紹介した患者さん、戻してくれたんですね・ありがとう、ほくほく・・」っていう連携が、果たして本当に患者さんのためになっているんだろうか・・

地域のクリニックから、大病院を紹介する際の裏事情について意見を書いた。来月はこれのパート2、こんな病院には患者さんをお願いできないでしょう・・・いわゆる NO GOODのブラックリストの病院について考えてみよう。




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