医語よろしく
2003年9月〜12月
2003.11.18
 白い巨塔リバイバル・・
ある患者さんから尋ねられた。

「先生は白い巨塔のような大学病院の権力争いなど大嫌いなんでしょうね?実際教授争いってあれ程醜くすさまじいのでしょうか?教授回診だって何人もの医師が団体になって歩いているし・・。図書館でたまたま山崎豊子の白い巨塔を見つけて読んだら人間描写が面白くて・・でも長い、なかなか読めないと思っていたらドラマが始まってしまったんです・・小説の印象とちょっと違うけれど、客観的に見ると笑えますよね。」

今回のテレビドラマの「白い巨塔」は実は見ていない。20数年前の故・田宮二郎の時のイメージが強すぎて、ちょっと今回は見る気がしない・・

あの時はまさに医学部の学生だったから、完全に自分の将来の姿に影を重ねて・・もちろん山崎豊子の原作も読破した。まだ医学生の身ながら医学部のピラミッドなんてこんなもの、医者の権威とか、それこそ医学界そのものが「白い巨塔」であることは、薄々感ずいてはいたものの・・

しかし医学部卒業後、その巨塔の底辺を支える立場になってしまったら、その白い巨塔がいかにむなしいものなのか、何の疑問も感じなくなっていた。

お医者さんの究極の目標ってなんだろう??医者の「欲」ってのは最終的には「名誉欲」なんだろうなあ。(ま、他の職種だって、サラリーマンだって公務員だって、おんなじかもしれないけどね)。医者の興味の対象??良い病院に就職すること・・、病院内で部長になりたいとか院長になりたいとか、学会で有名って学会長として大きな学会を開催したいとか・・・一般病院がそうだから、その究極のピラミッドである大学の講座制、大学病院の教授と徒弟制度の「欲」は推して知るべし・・。その巨塔のてっぺんはほとんど「独裁政治化」しているので、仮に裸の王様状態で世間の常識から遠く外れて突っ走ったって、誰一人止められる輩はいない。

俺はがんセンターの「科長」にまでなって、全国の学会でも結構名前も顔も売れてきて、普通の医者ならそのままそっちに突っ走って、巨塔を上り詰めることを生き甲斐にするんだろうけど、ある時、急激にそういうことに興味がうすれた。アホくさくなったっていうのが本音かな。学会の専門医として、たくさん論文も書いた。でも俺の論文よりサザンの桑田の歌の方が絶対患者さん達を元気にしてくれてるだろう(川上院長・弁)。将来がんセンターでセンター長になる??乳がん学会でえらくなって学会理事や、学会長を目指す??で??仮にそうなったらそれでどうしたの?それでどうなるの??って・・・65歳定年までがんセンターのスタッフでいる自分を、どう逆立ちしても思い描けなかった。だから、とっとと辞めた。

自分のやりたいことをやろうと思った。大好きな患者さんとの時間をたっぷり作れる身分を得ようと思った。世のためヒトのためお役に立つには、医者は診察室にいるしかない・・なんてちっとも思えなかった。

60になったら、俺は何してんだろうね。社長業も板について、都内の事務所でてんてこ舞いしてるんだろうか?・・・自分の中の白い巨塔は他のどの医者よりも、いまは、ちっぽけかもしれないなぁ・・それでも他のだれのよりぜったい「白い」ぞ・・・


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