医語よろしく
2003年9月〜12月
2003.10.15
 乳がん検診の不備・報道に思うパート2・・・
先月からの乳がん検診不備特集・・相変わらず報道は続いているようです。
つい最近の記事を少しおさらいしましょうか・・


  • J−POSH乳がんの早期発見の大切さを広めるNPO法人、大阪の田中完児先生のご活躍の様子
  • 東京タワーをピンクにライトアップ。乳がん早期発見と治療を呼びかけるピンクリボン運動のひとつ。患者さんの会「あけぼの会」が主催。
  • 職場検診のマンモ導入率きわめて低し、受診率も2割以下、乳がん医療そのものに深く携わっているワコール、J&J,女性社員の比率の高い資生堂、日本航空、三越などの企業でも受診率の低さと、費用に大きな壁がある・・
などです。
先月の初め頃は、乳がん検診を引き受ける医療側の不備をさかんに報道していました。つまり、検診体制の不備や、医師の技量の問題、機器や設備の不備などを指摘していたのですが、最近の報道の中身は、どうやら矛先が医療側ではなくなり、検診を受ける側、受診者(一般の方)の意識の低さを取り上げていることが多いようです。

でも今後は、おそらくそれが一番の改善すべきポイントでしょうね。
医療側の不備に対しては、時間と金がきっと良い方向に導いてくれるだろうと思いますが(金がないと無理だよ・・・お上はちゃんと予算作れよ!!)、さて医療環境は整ったものの検診を受けてくれなければ、な〜〜〜んにも始まらないわけですよ。

有名人が乳がんになってテレビで話題にされまくるとか・・不謹慎な!!そんなことでもない限り、これまではちっとも受診の動機ツケが出来なかったのが、ここ最近の報道のおかげで、確かに受診率は増えました??? 明らかに「検診目的」で診療所に来られる患者さんは増えてますけどね。セカンドオピニオンって、わかりますよね。最近は検診のセカンドオピニオンですよ。どこかで既にもう検診を受けられた方が、あそこの病院では心配だからと専門医専門病院を渡り歩いて、何件目・・・なんてこと、ざらです・・・でも一時的なブームのように、時が来たらまた元の程度に逆戻り・・なんんてことにならないとも限らない。

まあ、地道にいろんなところで啓発運動ことは絶対必要ですが、政治家が本気になればもっと効率が上がるんじゃないかな? たとえば堂本千葉県知事と大田大阪府知事がタイアップして、全国女性議員を動かして合同記者会見の後、ある日に一斉にマンモグラフィー検診を受ける・・ってのどう??当日マンモグラフィーを受ける一般の受診者からは料金を取らない。つまりその日に限り乳がん検診はただで受けられる。もちろん費用はお上もち。当然キャンペーンにしてポスター貼りまくり、選挙カーの代わりにマンモグラフィー検診車の上に乗って、女性議員達が街中に声をかけまくる。当日はあけぼの会も、J―POSHもその他の乳がん件発活動団体は、一斉に何かのイベントを行う。・・・
全国的に乳がん検診デイ・・・・てなとこですね。

今月はいつも原稿を送ってくれるきっきさん(患者さん)が、9月12日のピンクリボンのイベントに参加してその感想の原稿を書いてくれています。よかったらそちらもご覧下さい。

「Breast Cancer Awareness Month・・イベントの片隅で」

そういう大きな啓発活動、情報発信をしても、それに響いてくれる受診者が増えてくれないことには、話にならない。

胃がんが結核のあとの亡国病とおそれられ、その対策のために世界に名だたる「胃がん検診」体制が作り上げられた。そして15年20年後、胃がんで命をを失う患者さんの数は明らかに減った。でも胃がん検診の受診率はそんなに高いか・・っていうとおそらくそれほど高いわけでもないでしょう。国民の何人に一人が毎年胃がん検診(バリウム飲むこと)を受けているだろうか?自覚症状のない集団のそれによる死亡率を下げることに成功した「胃がん検診」でさえ、受診率の低さはいまだに克服出来ないと聞きます。

乳がん検診は、今まさに「検診体制」を作り上げることを始めようとしているわけです。と同時に、一人でも多くの方が乳がん検診の大切さを理解し、自ら毎年マンモグラフィーを受ける・・ことをしてくれないことには、またいつか何年も経たないうちに、また多くのメデイアが同じような報道記事を連日取り上げるような憂い目にあう!!

・・・今度、中学校のPTAに頼んで、PTAのお母さん相手だけではなく、子供達に乳がんのチェックをしよう、大きくなったら毎年検診受けよう・・って話をしてみたいな。高校生くらいまでだったら、まじめに聞いてくれるだろう・・ひょっとしたら子供達のお母さんや親戚の方達にも乳がんの経験者はいっぱいいることだろうし、絶対人ごととは思わないだろうな。避妊具の使い方を勉強する時間を取れるのなら、子供達に乳がん検診の大切さを教えてあげる時間くらい簡単に作れるだろう!!その方が長い目で見れば絶対「医療費削減」になるぜ!!坂口厚労大臣!!

それにしても、早く「検診体制」充実させてくれよ、専門医専門医ったってそんなわずかな数の医者しか乳がんの診断をしてはいけないなんてなったら、現実的に「破綻」するぞ!!専門医でなくても、それなりにきちんと確実に診断出来る専門医でないドクターだって、たくさん検診を手伝ってくれてるんだから!!このままでは善良な乳がん専門医は殺到する受診者の方達の大波にのまれておぼれ死んでしまいそうなんです・・ある乳腺専門クリニックの院長のお言葉・・「俺、絶対乳がん専門医の看板なんかかけないよ、だってこれ以上患者さん集まったってちゃんと診れっこないもん!!」・・・新聞記事「向かい風」状態のひとつです。

ついでにもう一言、新聞報道のきっかけになったI市の医師会や、その他の地方自治体の検診団体は、かなり危機感を持って、今回の報道を受け止めて善後策を整えつつあるようです。しかし・・・千葉市医師会は・・・いまだな〜〜〜んにも動きがありません。市医師会の多くの先生方は「触診のみの乳がん検診は近々廃止される」ってのを理解しているはずなのに、じゃあ来年から検診体制どうしようとか、これまでのデータを出してみようとか・・・一切なにも話題に上りません。どうやら、でかい市町村ほど「医療関係者の意識」もお粗末のようです。

朝日新聞の連載が巻き起こした「乳がん検診」の話題、まだまだ続きそうです。専門医だけでなく体制があまりに整っていない、このような一方通行の圧倒的な現状不備の情報提供が、逆に無用な「不安のあおり立て」に終わっているような気もするし、マンモさえ撮れば安心のような論調もどうかと思うし、さらに乳がん検診「是非論争」まで発展して・・そもそもことの始まりの患者さんは、どうやら僕とえらく近しいドクターと関係が深いようで、「僕はあんなことしゃべってませんよ」と聞かされると・・じゃあの記事はいったい何だったの??実は現場からはちらほらと朝日新聞の報道姿勢に対する「ご意見」も聞こえてきて・・・・いましばらく情報の整理が必要なようですね・・


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