医語よろしく
2003年5月〜8月
2003.7.16
 代替療法・医者と患者さんの温度差って?・・
「がんの代替療法は治療効果が証明されていないのでお勧めしない」という言葉だけで、代替療法を頭ごなしに否定する医者は、患者さんが代替療法に走る本質を理解しようとしていない。今の世の代替療法は、抗がん剤の副作用の反動から売れているんではなくて、「お寒い主治医の大先生」のせいだという現実をまざまざと見せつけられたような気がした…・・6月28日 千葉乳腺疾患研究会に出席して・・・・

冒頭から、またトップページにも過激な文章を書いていますが、実は僕はとても腹が立っていたんです・・この研究会の後に・・・

年2回行われている千葉県内の医療機関のスタッフ、患者さんたちが集まる千葉乳腺疾患研究会が、6月28日千葉市内で開催されました。今回の研究会のテーマは「代替療法」。

がんの患者さん達の多くが、病院で行われるもしくは病院から出されるがんの治療法や治療薬とは別に、何らかのサプリメント、別の治療法(正確には治療法とは言わない)を並行してやっておられる。もしくは、抗がん剤などの副作用を心配して、医者から勧められるすべての治療法を拒否し、何か別の方法やモノ(薬と言う表現は正しくないでしょう)に走る。新聞や雑誌をみれば、「医者から見放された末期のがんが治る」、「自己の免疫力アップでがんが消えた」・・とか、はではでしい内容で代替医療が絶賛されている、昨今のご時世・・・。

そんな中で、今回の研究会のテーマはまさにgood timingの検討事項。患者さんの会・あけぼの会の広報誌によれば、この研究会の中で代替療法容認派の代表としてあけぼの会の千葉県支部会の会長さんが、その一方で代替療法の反対派の代表として○んセンター乳腺外科の部長先生が、それぞれ座長を務める・・・とありました。

当の司会者である先生が、会の冒頭に「代替療法を巡って医者と患者さんとの間に温度差があり、今日の研究会はその温度差を少しでも縮めるために計画しました」との頼もしいお言葉(と最初は思っていた)・・・おそらくそこに参加している患者さん達や一般の方の多くも、ひょっとしたらご自分が今されている代替医療の是非をもう一度考え直そうと、おそらく必死の思いで参加したに違いありません。中には元NHKのアナウンサーで、乳がんとわかったとたんにすべての医療行為を拒否し代替療法に走ったあげく病状はきわめて悪化し、普通の治療法に戻ったとたんにとても楽になって、その体験談を本に書き、テレビでもさかんに取材されていた方も会場に参加しておられました。

さて会はというと、急激な肝機能障害に伴って乳がんの肝転移にて不幸な経過をたどった患者さんが、実は主治医に黙って漢方薬を使っていたため、その重篤な肝機能障害は漢方薬のせいで、代替療法は効果がないどころか有害ですらあるという発表に対し、これはどう見ても肝転移による肝機能障害と区別が付かないから、この肝機能障害を漢方薬のせいにして代替療法を否定するのはナンセンスである・・と言う会場からの非難の声もあがり、会はまさに徐々に代替療法の核心に近付きつつあるなか・・・

千葉大学の某先生の見事なまでのプレゼンテーションのおかげで、会場は一気にヒートアップしたんです。この先生は、決して声高ではなく高圧的にでもなく、代替療法に関してがんの治療効果を持つと証明された論文はひとつも探せなかったことを指摘し、会場からは多数の発言を導いていました。

さらに患者さんの会、あけぼの会で行われた患者さんに対するアンケート調査の結果・・・実は、医者が採ったアンケートでは患者さんは真実を語らないだろうから、この患者さんの会が調査した結果を,生の真実の声として僕はとても楽しみに待っていました。あけぼの会のアンケートでは、患者さん達の多くは、代替療法を行っていることを主治医に話しておらず、中には話す必要もないと答えている方達も相当数いて、そこには治療とは全く別の独立したやり方だから主治医に知らせる必要がないと考えている裏側に、主治医は決して勧めるどころかきっと辞めるように「否定」されるから、話しても無駄・・だから黙っている。という辛辣な現実が見え隠れしていたんです。

さていよいよ、面白くなり始めたところに、お待ちかねの特別講演。厚生労働省の班研究で代替療法の科学的な調査が始まっているらしく、特別講演はその研究に携わる班員の一人である、えら〜〜い腫瘍内科の先生(らしい)。これは相当面白そうな話が聞かれるだろう、とか、どんな結末の話をしてくれるんだろう・・とか、誰もが期待に胸ワクワクで特別講演を待っていたはずです。

ところが・・・そのあたりから僕は、せっかくの高揚した気分がだんだん怒りに変わっていきました。なぜって?・・・まず、その特別講演の話の中身、な〜〜〜〜〜〜〜〜〜んにもためにならなかったんです。誰かこの特別講演の話とても良かったっていうご意見の聴衆が居たらどうぞご意見くださいまし。おそらく会場にいる間違いなく99%(特別講演者の先生本人をを除く)の方が、この講演をとてもつまらなくて何の勉強にもならなかったと、感じたはずです。

僕の席の数列前にお座りになっていた小倉先生などは、別の本を読んでおられましたよ、公演中に。それほどつまんねえ講演だったんです・・・ただそれだけなら、まだ怒りには至りませんが、途中のパソコンからのスライドが、ご本人曰く「インターネットから直接持ってきたから、きちんと見えるかどうかわかりませんが・・・(案の定真っ白のスライドで何も見えず)・・やっぱり見えませんね」と平気な顔で話を続けて、そんな真っ白なスライドが数枚続いたときには、僕の怒りはすでに半端ではありませんでした。

失礼ですよ聞いている人達に、あんなスライドを見せるのは、・・はっきり言って準備不足じゃないですか。特別講演の演者でわざわざ呼ばれた以上は最高の準備をしてくるのが礼儀ですよ。講師料までもらって、会場には参加費まで払った聴衆が居て、あのつまらない話の中身と、見ていて不愉快になるほどのお粗末なスライド・・・あなた聞きに来ている人をバカにして居るんですか・・とでもいいたくなるような最低の特別講演でしたね。最後に会場から、先生はご自分で現在勧められる代替療法はなんですか・・と聞かれたとき、なんとお答えになったのやら記憶にもありませんが・・・な〜〜んにもいい話をしてくれなかったです。

さてさて、そんな史上最低の特別講演の後に、輪をかけて僕を(心ある聴衆の一部は、僕とおなじく腹を立てていたようですが)怒らせてくれたのは、会場からのある発言と、座長の先生からの発言です。どちらも千葉県を代表する有名ながん専門病院のしかるべき立場の先生なので、実はこのお二人とも代替療法を頭からの否定派の先生であり、そのような発言がでたのでしょうが、・・・

ひとつは「患者さんが代替療法に走るのは、今の治療法がまだ不十分だからということの裏返しである」という発言。ちょっとだけ会場から拍手喝采があって、なるほどと思った人もいたらしい。でも、それは違うだろう、患者さんはただそれだけで代替療法に逃げて居るんじゃないと思う。むしろ「治療法」が不十分なんじゃなくて、治療法が不十分だと患者さんに思わせる心ない診察室の「お粗末さ」が原因なんじゃないかって・・・疑問に思うわけですよ。僕としては。治療法に原因があるのではなく治療の姿勢じゃないかって・・

だって副作用が強くて30%の効果しかない抗がん剤治療でも、「大変だけど頑張ろう、絶対に良くなるから一緒に治療しよう」という医者のひと言、医者の心ひとつで、患者さんにとっては100%の治療効果に等しく、150%の治療意欲を引き出し、200%の生きる希望につながることに、なぜ多くの「大先生」達は気づかないんだろうか。それを「治療効果が30%しかないこと」に患者さんが代替療法に走ってしまう原因がある・・と言いきる主治医の感覚そのものに、代替療法に走らせる「何か」があるんじゃないかって・・・

それからもう一つ頭に来た言葉は、その特別講演の演者の先生に、「代替療法の臨床試験は進みますかね・・・なかなか進まないんじゃないですかね」と聞いた座長の言葉である。つまりこの言葉の本意は、代替療法がほんとうにがんの治療法として効果があるのかどうかを臨床試験で確認して、早く「実は効果はない」ことをはっきりした結論を出す必要があるのに、でも、臨床試験が進まないから、なかなか{NO}と結論つけることは出来ないんじゃないか。だからいつまでたってもだらだらと患者さんは効果のありもしない代替療法にすがってしまうんだ・・・と言う考えが根底に流れています。

かくいう先生は、「あなたにはもう治療法はありません」とか「あなたのがんは悪性度が高くて進行が早い」とか「あなたみたいな人はここで治療を受けるひとではない」とかいう言葉を平気で患者さんに投げつけて、(おかげで泣かされた患者さんがうちの医療相談に来ることが多いんです)・・・そんなこと言われたら、どうしたって代替療法に目がいくでしょう・・患者さんは。

現在ある西洋医学に基づく薬や治療法が「不満足」だから患者さんが代替療法に走るのではなく、患者さんに対する「医療者としての気持ち」が自らの診察室に足りないことが、患者さん達を代替療法に駆り立てていることを理解できないのかなあ。臨床試験の結果、もし仮に「アガリクスには治療効果無し」という結論がでても、そんな心ない主治医の患者さん達は、絶対アガリクスやめないだろうな・・

しかし会場の雰囲気、会の流れからすると、どうやら代替療法というのは確かな効果の根拠もなく使われているし、場合によっては重大な体のトラブルを引き起こしかねない代物なので、早くしっかりした情報提供をするべきだ。つまり患者さん達と医者との温度差は、患者さん達がこんな効果のないモノにいつまでもすがりついているからこそ生じているのであって、早く目を覚ました方がいい・・・って言う結論で、それで会が終了になりかけたんです。

患者さん側がより冷静に、場合によってはきちんとした情報提供が必要だとしても、そうして温度差を縮めようと努力するのであれば、医者の方だって患者さん達が代替療法に走る理由の根本的なところをしっかり見つめて、自らの「支え」方が足らないことが温度差を生じていることに、絶対に気が付くべきだと感じたんです。僕がこうして腹を立てて、あの研究会の成り行きはよろしくない、医者も考え直せ!!と言っている内容を理解してもらえる医者であれば、きっと患者さん達に心ない言葉を投げつけることは絶対しないだろうし、もし僕がいったい何を怒っているのかさっぱりわからない医者であれば、残念ながら代替療法に走る患者さんは絶対減ることはないだろう。

代替療法を巡る患者さんと主治医との温度差は、「心ない医者」のお寒い診察室が原因のひとつになっていることを、是非理解して欲しいと思いました。

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