医語よろしく
2003年1月〜4月
2003.4.15
 St.Gallenコンセンサスミーテイングに出席しました・・・
2003年3月12日〜15日に、スイスのザンクトガレン(St.Gallen)にてPrimary Therapy of Early Breast Cancer 「乳がんの早期治療」に関する国際学会が開催されました。この会議はヨーロッパ米国などの乳がん医療先進国のそうそうたる乳がん治療権威の先生方が2年に一度集まり、特に最終日には、約20人ほどの乳がん医療スペシャリストがパネリストとして壇上にて議論し、世界の乳がん医療のガイドライン作りをするという「コンセンサスミーテイング」と称して、国際的にも注目される学会なのです。



我々日本の乳がん医者達も、実はこのSt.Gallenコンセンサスガイドラインを、自分たちの治療の主たるよりどころとしているため、この会議での決定事項はとても重要な情報になるわけです。実は前回の2001年に開催された際のガイドラインが、あまりに優秀で広く受け入れられているため、実は今回の会議には「あんなに大事なことが話し合われる会議なら何が何でも直接行って聞いてこなくてはならない」と感じた先生もとても多かったのです。(僕もそうです)

最終日前日までの数々のシンポジウムも大事なのですが、仕事の都合上、僕は最終日午前中の、一番メインの大切なコンセンサスミーテイングのみ参加することになりました。

僕の旅行日程は
14日金曜の正午に成田発、直行便でチューリッヒまで機内一泊、
現地14日午後4時着(12時間フライト8時間の時差)、
翌日午前ミーテイング出席後、現地夕刻4時発、同じく12時間フライト8時間時差にて機内一泊、成田に16日日曜日昼過ぎ着、つまり機内2泊現地一泊3日の、現地滞在24時間出張であったわけです。金曜の昼に成田を発って、日曜の午後に帰って来る・・なんで往復24時間機内にいるのに昼間の学会聞いて帰ってこられるんだろうと・・不思議でしょう、時差のおかげですよ。せっかくスイスまで行くのにまあもったいないとお思いでしょうが、こんなハードなスイス旅行と国際学会出席も経験しておいたほうが良かろうと・・時差ぼけになる前に帰って来られるから・・などとタカをくくっていたのが・・・実はぶっちゃヶまいりました。(当たり前だよね)。

とりあえず現地到着の夕刻、少しだけチューリッヒの市内も歩いて、チューリッヒ湖やヨーロッパで最大の文字盤の時計塔も見られたし、本場のチーズフォンデュと白ワインもいただけたし、ドイツ語圏なので普段全く聞き慣れないドイツ語ばかりの環境も見られたし、でなんとかスイスらしいところには接してこられたわけですよ。(アルプスの山々は前の旅行で見ているから今回はなし)


翌朝、チューリッヒから電車で約一時間の移動をSt.Gallenの町まで・・・これがまた超静かで快適な二階建て特急で(静かさと席の広さは日本の新幹線のグリーン席より快適かもしれない)、朝が早いので混んでないし、周りの牧場や田舎の建物はいかにもスイスっぽくて、現地滞在24時間ぽっちの旅行の割には、ずいぶんいろんなスイスが見られたと思っています。


さて、会場のコンベンションホールは、約2000〜3000人の収容が出来そうな大きな会場ですが、前回出席した連中からの「遅く行ったら絶対座れないぞ」っていう口込み情報から,朝の開会の約1時間前に到着したら、・・・そこに来ているのは「日本からの先生」がほとんど・・日本人ってまじめなんだね、どこ行っても・・


さて、本チャンのミーテイングの方はどうかというと・・・・実は、この前の2001年に行われたときのミーテイングに比べると、今回はあまり目新しいことはバシバシ決まっていかなかったな・ってのが正直な感想。
世界中でたくさんの臨床試験、たくさんの優秀な治療薬のエビデンスが出されていく中、このようなガイドライン作りの意見調整作業は本当に難しいとは思うけれども、実は僕たちはそこのところを一番勉強したいわけでそのためにわざわざ厳しい旅程でスイスまでやってきたのに、結局あんまり「これはまた新しく治療戦略が決まったな・・」っていうところがほとんどありませんでした。・・とほほ・・会の最後には、「今の状況を、混乱せずに “わかった”なんて言っている奴は、実はな〜〜んにも理解できていないのである」なんていうことが「まとめ」のスライドとして出てきた日にゃあ・・あアた・・な〜〜んだ・・って感じですか。みんな今の治療方法の乱立状態で何がもっとも正しく最適な治療方針かが混乱しているため、コンセンサスをえるために世界各国から、戦争の始まる直前の緊迫した中をわざわざ参加しているのに・・な〜〜にが「混乱して当たり前」じゃ!!と・・・


しかし3月末には、あるホルモン剤の大きな臨床試験の追跡結果が出ることを受けて、その壇上の先生方にはまたあらためて意見を伺う機会を作りますとか・・言っていたようだし、約半年後には世界的に権威のある学術論文(JCO: Journal of Clinical Oncology)に、今回のミーテイングの結果が紙上発表されるはずなので、ま、そのときにはもう少しまともな形で、中身をお伝えできるようになると思います。

ブレストサービス代表は、今年は出来れば大きな国際学会にはなるべく出席して、最新の世界の乳がん治療を直(じか)に感じてこようと思っています。今度は夏前に、シカゴの米国臨床腫瘍学会(ASCO)に出席する予定です。またご報告いたします。

しかしイラク問題、世界的紛争勃発直前に、良くまあ行って来られたモンだとちょっとばかし感心しつつ、でも3日たってようやく時差ボケから回復してこの原稿を書いているおのれの無謀さにちょっと呆れつつ、みなさん、一泊3日のスイス旅行だけは止めといたほうがいいですよ・・

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