医語よろしく
2002年10月〜12月
2002.11.15
 がん保険の対象しっかり説明を・・
人事コンサルタント 匿名さんからのご意見です。

病院で、妻が「がん」だと宣告された。子宮頸部に「上皮内新生物」があるという。幸いまだ初期というので、すぐ入院と手術の予定を担当医と決めた。一段落して、二十年以上前に加入した「がん保険」の保険金を請求しようと、生命保険会社に連絡した。

すると、「がんの中でも、奥さんの場合は、『良性』か、『悪性と良性の間』ですので、保険金はおりません」と言われびっくりした。「約款を見てください」というので、約款を探し出して読んでみると、「当社におけるがんとは次のものをいう」として、「子宮頸部の悪性新生物」などと書いてあった。

しかし保険加入時の宣伝用チラシには、「がん保険の支給対象は、悪性の場合に限る」などとは書いていないし、勧誘員から「保険が支払われないがんもある」などという説明は受けていない。ほとんどの人は、細かな字でびっしり書かれた約款を通読することはなく、「がん」と診断されれば、がん保険が適用されると思っているのではないだろうか。

こうした疑問を持つ人が少なくないためか、最近では、上皮内新生物を「軽微ながん」と説明して、がん保険の支給対象とする会社も出てきたようだ。生命保険会社は、対象外のがんがあるということを、保険加入時にはっきり説明する必要があると思う。

乳がんを見つける立場から、発言させていただきましょう。

今年度から乳がん検診に、従来の触診にかわって(加えて?)マンモグラフィー(乳房X線撮影)が導入されました。レントゲンに写ったいかなる異常を見つけて、がんの診断につなげるかというと、一つは「しこり」。もう一つは細かいカルシウム沈着の跡(石灰化というごま塩のように細かい砂粒)の写真です。乳がんがしこりとして感じられる前に、この石灰化を写真で確認することにより、がんの診断が付くことがよくあります。

たいていの場合そのように石灰化だけで見つかったがんは「非浸潤がん」と言われ、とてもたちの良い「がん」。つまり、寿命に全く悪影響を与えない、きわめて早期の乳がんです。検診の際に、何ら異常を感じていない受診者、全く症状のない方たちの中から、このようなレントゲンの石灰化だけでがんを発見できる、それが早期がんであれば、これこそ意味のある検診であるといえるでしょう。早期発見して軽い治療ですみ、しかも病気が重たくならずに命の心配しなくても良い・・・理想的ながんの「発見法」なんです。

検診で、みなさんの税金の一部を補充して、公的にもがんの早期発見をサポートしようとしている中に、この「生命保険(がん保険)」の不十分な対応は、いただけませんよね。この記事のケースは婦人科の例なので、少し乳がんとはニュアンスが違うとは思いますが、この乳がんの「非浸潤がん」は「上皮内がん」とも言われ、生命保険会社の「がん保険」では、対象病名が「上皮内がんをのぞく」とする保険会社がありました。これではせっかく「がんの保険」をかけて早期発見しても金銭的にサポートされない、患者さんはかわいそうですよね。早期発見の意味がない!

がんの定義や、考え方が少しずつ変化する中で、一般臨床では間違いなく「悪性新生物」「がん」として治療される病気が、保険での金銭サポートがなされないのは不合理ですよね。
このようなことはむしろ、お上の方から行政的に、保険会社にきちんと指導してほしいものです。


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