医語よろしく
2002年10月〜12月
2002.11.15
 集団検診から自発の時代へ・・・
2002年10月19日 (土) 朝日新聞より

私達(日本対がん協会 富永久雄専務理事)は今年のテーマを「がん克服への応援歌」とし、がんを克服した人や、今まさにがんと闘っている患者とその家族をサポートしながら、一緒にがん征圧の包囲網を縮めていこうと考えました。

6月に東京・有楽町マリオンでこうした人たちが手をつなぐ機会を作りました。9月には「応援歌」をテーマに山形市で協会の全国大会を開きました。日本癌学会総会記念の「講演と音楽の夕べ」も同一線上にあります。

これらを通じて強く印象に残ったのが、参加された一人ひとりの表情が実に生き生きとしていたことです。会場の収容力や天候のため、いずれも集まったのは600〜800人でしたが、何千人、何万人というイベントに匹敵するエネルギーが会場に凝縮されているように感じました。

国などが費用を負担し、「集団検診」という言葉で親しまれてきたがん検診は98年度から、地方自治体の福祉・保健行政にまかされています。

国のがん政策変更の背景には「自分の健康は自分で守る」という個人の自覚に期待し、前提にしたところがあります。とはいっても現実には「集団検診」の効用は捨てがたいものがあります。ただ、地域ごとに住民を集めるという方法から一人ひとりが自発的に検診を受ける時代に近づいているようです。
「集団」から「個人」へ。社会のさまざまな分野で指摘される「個人」の意識や行動のウエートが、がん征圧活動の分野でも高まっています。

自分の健康は自分で買う・・って先月のコラムにも書きました。僕もまさにそう思います。しかしですよ、社会人になって、自分の健康をより意識するタイミングは、たとえば40すぎて体力的に少し衰えを感じるようになったときとか、知人や親が病気になって病気がより身近になったときとか、そういうタイミングにならないと、どうやら人は自分の「からだ」「健康」について、まじめに考えることはしないみたいですよね。だからいまだに、市町村の集団検診や、会社とか職場がサポートする強制的な検診体制などの動機付けや受診者収集能力に、おんぶしてしまう。日本人の「がん早期発見、予防」感は、まだまだそんな風潮でしょう。

全く興味のない人にいくら高尚な話をしても、耳を傾けてくれない。だからより身近な「人」や「事柄」を使って、興味をこちらに向けようとする、今の検診推進プロジェクトはなんだかそんなやり方に注力せざるを得ないというのも、悲しい気がします。

大切なのはやはり、小さいときからの健康教育ですよ。自分の体を自分でチェックし、お金使ってでも自分の健康管理をする。日本人にそういう風潮が全くないのは、小さいときに「からだ」と「健康」について教育されるチャンスが全くなかったから。医学部の学生だけが、体の仕組みや、病気のことを知っている世の中で良いんでしょうかね。素人さんだって、日本人に多い代表的な病気のことは、もう少しきちんと皆が教わっておいた方がいいように思いませんか?

いつも言いますが、小さいときに歯磨きを覚える。それは当たり前にみんなが身につける習慣でしょう。外から帰ったら手を洗う・・でもいいですよ。同じように、乳房は定期的に自分でチェックし、年に1〜2度は、必ずマンモグラフィーや超音波の画面の検査を受ける。これが習慣つけられれば、早期乳がんの発見率は劇的に向上し、ひいては乳がんで命を失うこともなくなるはずです。

医療費削減を目的に、むやみに健康保険自己負担を増やしたり、診療報酬の締め付けで、治療を受けにくくするよりも、学校教育での健康管理により早期発見を啓発する方が、治療費がかからなくてすむ分だけ、よっぽど医療費削減につながると思うけど・・・

さ、みなさん・・・「自分の健康は自分で買いましょう」

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