医語よろしく
2002年7月〜9月
2002.8.9
 「銭勘定」より医療の質を・・・
日本の医療制度改革の議論をアメリカから見ていて残念に思うのは、自己負担増とか診療報酬の引き下げとか、「銭勘定」に終始していることだ。
日本の医療費は先進諸国の中ではすでに最低の部類に属し、今改善すべきは医療費削減よりも、患者の権利が保障されていないことと、社会に医療の質を保証する制度が用意されていないことの方が、患者の立場からすれば緊急に解決すべき大問題である。
「医療コスト削減からではなく、患者の権利と医療の質から改めよ」と私が主張するのも、実は、私自身の家族が医療の場で身体的・言語的虐待を受けたり、医療過誤の被害にあったりという個人的体験をしているからだ。
「心ない」医療を受けた体験、つまり自分や家族が受けた医療について、「納得できない」とか「泣き寝入りさせられた」という思いを抱いている人々は非常に多いのでないだろうか。
医局講座制という、人事と情報が流通しない閉鎖的制度のもとで、「患者は人質」と考えて恥じない医師たちを拡大再生産する医局の存在が、許されてしまっている事が、最大の原因であろう。
患者の権利が法律や制度で手厚く保障されているアメリカだったら、日本の医局の医師たちの多くは医師免許の取り消しや停止の対象となってしかるべきである。
   在ボストンの医師・作家 李 啓充先生のコラムより

日本の医療構造の中で、今、「医学」と「医療」とがあまりにかけ離れてしまっていて、本来「患者さん」が中心で回らなくてはならない「人としてのお手伝い」が、満足に出来ない構造にあるのです。このひずみが、今の医療逆風時代、医療不信の風潮を作った根元でしょう。

手前みそですが、乳がん医療は、少しずつ昔からの日本の医療のスタイルを変えつつあります。手術の縮小化や、抗がん剤ホルモン剤など全身治療薬へと治療の主体が移ってきたこと、それにより、これまで外科、特に一般外科で片手間に行われてきた乳がん医療が、メスよりも薬を上手に使える乳がん専門医師、乳腺外科医でなく乳がん医者、乳腺医、乳がん医療をトータルにコーデイネート出来る、乳腺医療のスペシャリストの手へと、徐々に移りつつあるのです。しかしその着実な進歩を間違いなく妨げているのは、乳癌学会といえども大学病院主導型の学会で、つまりは医局講座制、もう外科だの内科だのやめればいいのに・・・乳房を見るところだから「乳腺科」、それ以外の名前の付け方は必要ないし、患者さんにはちっとも理解出来ない。第一外科で乳がんの手術やってんのか、第二外科でもやってるって?そんなこと患者さんはしらネエよな。

それが今度は先端応用何とか外科だの臓器制御なんとか外科なんて大学院大学講座制で科の名前をよばれたって、我々だってどこで乳がんの治療やってるのか、さっぱりわからんじゃないの。
乳腺科(乳房科)そこにいる乳腺専門医達が、がんの治療も乳腺炎の治療も乳腺症の痛みも見てくれるし、更年期前後の女性特有の愁訴に対する処置もしてくれる。ひいては閉経後の、骨粗鬆症や高脂血症、更年期症状に対するHRT(ホルモン充填療法)など、すべて女性特有の病態と治療に精通しているスペシャリストが乳腺専門医です。・・・なんて言えたらいいでしょう。

ここまではシステム(器)の話し・・・次は中味の進歩の話し・・QOLとか告知、インフォームドコンセント、セカンドオピニオン、日帰り手術、外来化学療法、がん休眠療法なんて言う言葉は、まさに乳がん医療が進歩していくために使われてきた言葉。今のあふれンばかりの情報時代に、少なくとも欧米から輸入される乳がんに関する情報量はすさまじく大量かつ最新で、患者さん達の意識も高く、また50歳頃の女性としてもっとも多感、多弁、多役な人生の山に最もよく発生しやすい乳がんは、やはり本来は一番の国民的関心事項でなくてはならないはずです。もちろん日本でもその機運は強くなりつつあり、患者さんの会やサポートグループの存在により、乳がん医療は一般の人や患者さんの側からも、そのひずみを少しずつかえていく大きな働きかけになってきているのです。
あともう少し・・・イヤまだまだかなりかな??日本の乳がん医療はかわります。(僕らがかえます)

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