医語よろしく
2002年7月〜9月
2002.7.31
 もっと説明を・「義務違反」認めた判決・・・
東京都の井上さんは、右上腕から肩甲骨にかけてある大きなあざに悩まされてきた。レーザー治療などを受け続けたが満足のいく結果は得られなかった。
 形成外科の医師から新しい治療、組織を引き伸ばす「ティシュエキスパンダー法」(皮膚の下に生理食塩水を入れた風船状のシリコーンを二ヶ月ほど入れたままにし、伸ばした皮膚を切除した部分に移植する)を勧められた。
 まず上腕に移植し、翌年には背中にも同じ方法を行ったが、伸ばした皮膚だけでは切除したあざを覆いきれず、脇腹の後ろ側の皮膚を筋肉ごと移植する手術も合わせて行われた。
その結果、背中が厚ぼったく盛り上がり、痛みや引きつれにも苦しめられた。その後、別の病院で手術を繰り返したが筋肉の切除により腕は上がりにくく、身障者手帳を交付された。
 筋肉ごと移植されたことは、手術後に初めて知ったという井上さん。損害賠償を求める訴訟を起こした。
 裁判では、事前に手術内容を説明していたかどうかが争点の一つになったが、カルテには「説明した」と記述があった。

 だが、東京地裁の判決は、井上さんが移植手術について十分に理解していなかった事実を認定、医師の説明義務違反を指摘した。弁護士の安原さんは「患者が治療を選ぶために、治療メニューを示し、長所、短所も説明する。そこまでの情報提供を医師の説明義務とする、近年の判決の流れに沿う判断」と評価する。 

 インホームドコンセントという言葉こそ定着したが、必ずしも実質が伴っていない。医師に求められる「説明」について考える。

医師の説明

法的には診療契約に基づく義務とされ、次の2段階がある。

@ 身体を傷つける可能性があるので治療には患者の承諾が 必要。
A医療行為を受けるかどうかなど、患者が自分で決める為 に必要な判断材料を提出する。

裁判所は、80年代までは@で十分と判断していたが、90年代以降、説明義務にAも含めるようになった。 


  よくよく、思いますよ。僕らはたくさん時間をかけて患者さんにこれから行う治療(たとえば手術や抗がん剤の治療)などのお話しをして、これで分かってもらえたろうな・・って思っていたら、患者さんは、ぜ〜〜んぜん別の理解の仕方をしていて、なんのための説明だったのかって悲しくなっちゃうこと。でもこれは、患者さんの理解力が足りないから!なんて言いきってしまう偉そうな(実はちっとも偉くない)先生は別にして、どちらにも原因はありますよ。わかりにくい説明だったり、医者の自己満足の説明だったり、ここまでとりあえず言っとかなきゃ何かあった時にまずいからっていう、よけいなことしゃべりすぎパターンだとか・・

患者さんの側からすると、もちろん医療の素人さんなので、すべて同じように理解してもらえる事を要求することはしませんが、しかしおそらく分からないなりに、皆さん独自のフィルターでもって、主治医の話をふるいにかけて、自分の都合のいい情報だけを理解しようとする・・と最初の、理解のずれはほんの数度でも最後になって、その開きは何十度にもなって大きな食い違いになってしまう。・・・よくあるよくある・・・

医師の説明に義務付けられている「医療行為を受けるかどうかなど、患者が自分で決める為に必要な判断材料を提出する。」というのは、これはけっこう実は難しいんですよ。あまりに悪い印象ばかりお話ししても、患者さんは尻込みするばかりで、本来「良くなる」ための医療行為をお受けいただけないことは結果として不利益になりかねないし・・かといってこの記事のケースのように、その説明がなかったから、結果が悪かったときに「なぜ説明しなかった?」と問われて、訴訟にまでなる。難しいですね、医療行為という「契約」は・・・

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