医語よろしく
2002年4月〜6月
2002.5.31
 おそるべし健康食品産業・・・
先日、自分の塗り薬を川上診療所で処方してもらって、(院外処方のため)すぐに薬を作ってもらえるように、薬を取りに行く予定の薬局にFAXを流しておいてもらいました。さて、診療所からの帰り道、その約束した薬局に顔を出したら、「少々お待ち下さい・・・」と受付のおばさまにいわれて、ボケッと待つこと10分。なんで塗り薬1本がそんなに時間かかるんじゃイ、とか、さっき「行ってから待たないように」って、わざわざ処方箋のコピーをFAXしておいてもらったのは、あれはいったい何だったの??こんなに待つんだったら、自分で院外処方箋を持ってきてお願いしたのと、なんにも変わらンじゃないかって、・・内心ブリブリのカンカンのムカムカの、あったまに来てフランス代表ジダン状態で湯気がでそうになっていたとき・・・ふと感じたことが二つ。

 患者さんってひょっとしたら、みんなこんなイライラしながら薬の処方を待っているんだろうなって・・・院外処方って本来、病院診療所での待ち時間を無くして、自分の家の近くの薬局(かかりつけ薬局状態)で、機嫌良く薬をもらえる配慮をしてもらうシステムなのに、こんなんじゃなんのための院外処方だか・・・院外処方の裏表の話は、もうひとつコラムを書かせてもらいますが、まあ、医療の流れの中で「薬を出してもらう」っていう行為はやっぱりどこでやっても時間がかかって、決して患者さんのために役立っていないのかなと・・・そんなこと考えているうちに、少しジダンの頭の湯気も少し勢いが薄れてきた矢先、もっと驚くべき「感じること」が起きていたのです。

 僕が薬を待つわずか10分の間に、3人の(仲間数人で来ていた人もいるので正しくは3件の)50台くらいのおばさま達が、入れ替わり立ち替わりその薬局に入ってきました。僕のように、ある病院からの院外処方箋を持ってきたのではなくて、その方達の買い求めたものは、すべて健康ドリンク剤、何かの健康食品の類でした。しかも結構大量の購入であったためか、お会計の時に皆さん万札数枚をお出しになりお持ち帰りになったようです。中には「私はこのキノコでないとアレルギーがでるからこれしかだめなのよね、これを扱ってくれるのはこの薬局だけだから」と・・カウンターの向こうの薬局の人と話しながら、意気揚々とその健康食品を受け取ってお帰りになっていきました。

 僕はといえば、ビタミン剤にしても「何とか食品」にしても、自分では全く飲んだことがないので、わずか10分間の出来事でしたが、ある意味ではカルチャーショック(もう死語に近い表現ですが)を覚えました。そのお三かたのおばさま達が、みんな乳がんなりがんの治療中のかたかどうか、知るすべもありませんが、ひょっとするとどこも何も悪くない全く健康な方達だったかも知れません。しかしどちらにせよ、この稲毛駅前のロータリーにあるほんの小さな薬局での「健康食品」購入事情は、今の日本の多くの健康な方を含め大方の「健康食品」感覚を表現しているのではないかと思い今回のコラムに書かせていただいたワケです。

 たった一本の塗り薬が、10分たってようやく店の奥からでてきた白衣を着た薬局の店長らしきおじさまから手渡されるときに「リンデロン**という薬で患部をきれいにして、一日**塗ってください。皮膚にあわないときにはナンチャラカンチャラ」と、きっと僕が医師であることを知っていたらそんなマニュアル通りの当たり前の薬の使い方など恥ずかしくて説明できないだろうな・・(なんて思いませんでしたが)おじさまは薬剤師として当然の医薬品情報を患者の僕にしてくれたわけですから、ありがたく、内心「もっとハヨ出せ!!」と思いつつも、恐るべき健康食品事情をかいま見る時間を与えてくれたことに対して、かえって感謝すべきことかも知れないと考えれば、湯気の立ったジダンの頭も逆に真っ白になり、帰りのJR総武線の中で思うことことしきり・・・・

 何一つ病気を持たない健康な人ですら、このような健康食品のお世話になるのが健康維持のための国民的標準図式になっているとすれば、がんの患者さん達が「がんに効く」という健康食品を買い求めるのなんか、なんだか当たり前のような気がしてきましたね。そこに持ってきて、新聞広告や多くの目に触れるメデイアで大々的に宣伝されるとなると、こりゃあ売れて当然だわな・・・と・・

 わざわざそのようなかたちで「健康維持物質」を体内に入れずとも、普通の食事ですべてまかなえるモンじゃないのかなって・・・僕の頭は、古いのかも知れない・・

そんなこと考えながら終点の千葉駅でどっとホームにはき出される多くの乗客を眺めつつこのうちかなりの人が健康食品のお世話になっていると考えると、この健康食品産業が占める経済効果はバカにならない、健康食品産業恐るべしかなって・・・ブレストサービスでも健康食品売ったろうかな・・(それは会社設立上法規的に不可能ですし許認可もいるはずなので、言ってみただけですよ・・・)千葉駅の人波にうごめく頭が、薬品の変性を防ぐための遮光した茶色のビンの中で波打つ、ビタミンドリンクのごとくに黄色く見えた、いち乳がん医者のため息でした・・・

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