医語よろしく
2002年1月〜3月
2002.3.1
 女子高生から見た乳がん・・・・・
とてもうれしい話を聞きました。うちの顧問医をしてもらっている、千葉県対がん協会の橋本先生からの話です。橋本先生のお話をそのまま載せます。
「今日、千葉市内の女子高校の学生さんから、乳がんに関して勉強したいからいろいろ聞かせて欲しいという依頼がありました。学校の保健の授業の「健康」に関するグループ研究で、自分たちで自由にテーマを決めてレポートを出しなさいと言われたので、今一番日本で多い女性のがん「乳がん」について、レポートを書こうと思ったそうです。どうしてこんなに日本で増えてきたのか、どんながんなのか、怖い病気なのか、自分たちで若いうちから気を付けておくことは何かないか、それを教えてもらいたい、って僕のところに、勉強しに来たんです。」
 すばらしいことですね。乳がんのことをもっとよく知っておこう、若いうちから自分で出来る予防法や早期発見の方法を理解しておこうと、・・・女子校の学生さん達の年齢で、乳がんに関してそのような事に興味を持ってくれるということ・・すばらしいことだと思いませんか。とその裏返しに、その学生さん達のお母さんである、乳がん年齢(50歳がピーク)の女性のなかでも、そういうことに関心を持たれている方、いったいどのくらいいるでしょうか。
 きっと、多くの健康な成人女性にとって、乳がんは「人ごと」なんでしょうかね。だから、乳がんの検診率は低迷を続けているし、一番多い女性のがんは?って聞かれて、未だに「胃がん」だの「子宮がん」という答しか出ないんです。ある程度の年齢になれば、みなさん胃がん検診(バリウムの検査)は結構受けます。子宮がん検診も、もう社会的認知度も高いし、産婦人科の先生達がしっかりやってくれるので、ごくごく一般的。では一番多い乳がんを見つけるための乳がん検診はと言えば、「検診・健康診断」の中でも所詮、「オプション」。やってもやらなくてもご希望のままで、多くの場合せいぜい「触診」。しかも、けっして乳がんをたくさん見ている「専門の医師」の診察ではなくて、ゴリゴリしてるけど異常なし、とか、さわったのではよくわからないから精密検査、とかその程度のありがた〜〜い「御高診」。マンモグラフィー元年などと呼ばれているけれども、実はマンモなんて、機械としては20年近く前から、普通に診療に使っている検査法。それがようやく検診のための武器としておかみが評価してくれた。・だから最新兵器??・・・
オプションでも乳がん検診を受けない人は、じゃあ、いつも自分で自分のお乳をチェックしているかというと、実はさわったこともない、見てもわからない、さわり方も知らない、みんなゴリゴリしてるんでしょ、でも私に「乳がんはない」・・・????
 もしなんかあったらどこへ行けばいいの? 乳房だから婦人科?? 手術も婦人科???え?え?え・おんぞおんしゅじゅつ???何それ? 抗がん剤???そんな薬いや!!

 そんな知識環境で、まともに自分の乳房のチェックが出来ますか??早期乳がん見つけられますか、乳がんから命を守れますか???
今の日本の乳がん事情・・・・悲惨でしょ。ちゃんと診られる医師も少ない。まともに診療できる病院も少ない。かといって専門病院に患者さんが集中すれば、一人一人を丁寧に見る時間も割けない。精神的にも社会的にも、一人の女性としての患者さんを支えていける場所も時間もない。・・・・  これ、すべて「乳がん」の認知度が、あまりに低いからですよ。乳がんに関する知識が国民全体にあまりに乏しいからですよ。認知度が上がり、問題意識が強くなれば、必然的にそれを解決する策が充実してくる。もっとみんなが必死になって、それに対処しようと思い始める・・・・でも、まだそうなるのはずいぶん先かなあ・・・
 はじめの話に戻りましょう。女子高生の歳から、乳房(のがん)に関心を持って、乳がんのことをよく知っておこうと心がけること、この学生さん達がほんの少しでも、これから大きくなってもきちんと乳房のこと気にかけていようと、・・・必要な年齢になったらきちんと検査を受けようと、毎年一人が二人ずつ周りの友達に声をかけて、検診を誘っていけば、10年で1000人の友達、20年で50万人、26年で3300万人の女性がきちんと乳がんの検診を受けることになる。でも、30歳から市町村が乳がん検診を制度的にサポートしても、乳がん好発年齢の50歳には間に合わない。・・・・なんてこんな計算シミュレーションは意味ないですかね・・・
 僕の患者さん達には、学校の先生達も数多くいます。診察中のわずかの時間ですが、「学校の保健(体育)の時間に、乳がんの検診や自己触診のやり方を教育したらどうか」
という話をしたことがあります。一人一人の先生達(患者さんですが)は、そのような教育が中学校高校の年齢から必要であるということを理解してもらえますが、でもいざ、カリキュラムとしての教育システム、教育課程の一コマとしては、ただでさえ学力低下、授業時間不足の現状で、乳がんの話をするコマを取ることなど不可能でしょう。でも、早期発見のこと、自分の健康は自分で守る教育が身に付けば、乳がんからのみならず多くの疾病からの自らの命を守り、ひいては医療費も削減、皆が総じて健康になれるはず。教育の現場って大切なはずですよ。
 何にしても、女子校の学生さん達のこの年齢から、乳がんのこと関心を持ってくれたこと、とてもうれしいことですね。自分たちが勉強したこと、みんなにたくさん聞いてもらって、みんなの知識として役立ててあげてください。・・・

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